はじめに「こどもNISAって、うちもやったほうがいいんですか?」最近、子育て世代のお客様から、この質問がぐっと増えました。2025年末に「こどもNISA」という言葉がニュースで一気に広がったので、気になっている方も多いと思います。先に、この記事でお伝えしたいことをまとめます。・こどもNISAが「どういう制度か」を、いまわかっている範囲で正確に・そのうえで、多くのご家庭にとっては、実はそこまで必要ないかもしれない、という話制度そのものは、悪いものではありません。ただ、「始まるからやる」という順番だけは、少し立ち止まって考えてほしいなと思っています。そもそも「こどもNISA」とは?(2027年開始予定)「こどもNISA」というのは、実はまだ正式名称ではありません。報道でつけられた通称のようなものです。制度としては、いまのNISAの「つみたて投資枠」の年齢制限(18歳以上)をなくして、0〜17歳の子どもでも使えるようにしよう、というものです。これは2025年12月に閣議決定された「令和8年度(2026年度)税制改正大綱」に盛り込まれました。ただし、大綱は「これからこう変えていく方針」を示したもので、実際に使えるようになるのは、法律の改正を経た2027年からの予定です。大綱で示された中身を、ざっくり整理すると次のとおりです。こどもNISA(0〜17歳)の中身・使える枠:つみたて投資枠のみ・年間の投資枠:60万円・非課税で持てる上限:600万円・引き出し:12歳以降、子ども本人の同意があれば親権者が可・18歳になったら:そのまま大人のNISA(上限1,800万円)へ自動で移行(出典:金融庁「令和8年度税制改正について」2025年12月)昔の「ジュニアNISA」と何が違うの?「これ、昔のジュニアNISAと同じでは?」と思った方もいるかもしれません。ジュニアNISAは、新規の投資が2023年末で終わった制度です。いちばん不評だったのが「18歳まで原則引き出せない」という縛りでした。教育費のように途中で使いたいお金と、相性が悪かったのですね。(※廃止後の2024年以降は、この引き出し制限自体はなくなっています。)今回のこどもNISAは、その反省もあってか、12歳以降は本人の同意があれば引き出せる形になりました。昔よりは使いやすくなった、とは言えると思います。こどもNISAが“必要”な人は、意外と少ないのでは?ここからはあくまで私個人としての意見を申し上げます。正直にお伝えすると、私は「こどもNISAは、多くのご家庭にとっては必ずしも必要ないのでは」と考えています。わざわざ子ども名義で積立運用することが必要な場面って、かなりレアなケースだと思っているからです。例えば目的が教育費だったとしても、親のNISA口座で積み立てて、増えたお金を教育費に使えば十分です。わざわざ子ども名義にしなければならない理由は、多くの場合ないように思います。では、こどもNISAが活きるのはどんな方か。・親自身のNISA枠(1,800万円)をすでに使い切っていて、さらに非課税で運用できる枠を増やしたい方・相続対策などで、子ども名義にして、しばらく動かさないお金がある方こういった方などに、選択肢の一つとして合うことがあるのではないでしょうか。逆に言えば、多くのご家庭では、わざわざ子ども名義にしたり、こどもNISAに急いで飛びついたりする必要は、そこまでないように思います。「NISA」「こどもNISA」と聞くと、条件反射で「やらなきゃ!」と感じてしまう方は少なくありません。でも一度だけ、「何のためのお金なのか」を目的から逆算してみてほしいのです。暦年贈与との関係には注意こどもNISAの非課税枠と、暦年贈与の非課税枠を混同されている方が、よくいらっしゃいます。ここは要注意です。そもそも、この2つは課税の対象がまったく別なんです。こどもNISAは、投資で出た利益にかかる税金が非課税になる仕組みで、その元本が年間60万円まで、という話です。一方の暦年贈与は、お金を渡す(贈与する)金額に対して、受け取る側が払う税金の非課税枠(年110万円)です。だから、こどもNISAを使っても、暦年贈与の110万円の枠が増えるわけではありません。親が子ども名義の口座にお金を入れれば、それは子どもへの贈与にあたります。贈与のルールは、これまでどおり別で考える必要があります。「非課税の枠が増える」と受け取ってしまうと、ここが混ざりやすいので気をつけてくださいね。このあたりは判断に迷いやすいところなので、具体的なことは、ぜひ一度ご相談してみてくださいね。そのほか、気をつけたいこと投資である以上、元本は保証されません。つみたて投資枠は長期・分散に向いた仕組みですが、値動きはあります。「必要な時期が決まっているお金」ほど、値下がりと使うタイミングが重なるリスクに注意が必要です。「非課税」は目的ではなく、手段です。非課税はうれしい仕組みですが、それ自体が目的になると判断を誤りやすくなります。先に来るのは、いつも「何のためのお金か」です。今日からできること✅ そもそも子ども名義にする必要が、本当にあるか一度考える✅ 「何のためのお金か」を、ざっくりでいいので言葉にしてみる✅ そのお金は「増やす」のか「守る」のか、性格を分けて考える✅ 「始まるからやる」ではなく「目的から逆算」で必要性を判断する✅ 判断に迷うところは、具体的なことを一度相談してみるざっくりで大丈夫です。まず「何のためのお金か」を整えるところからで十分だと思います。まとめ・こどもNISAは2027年開始予定・年60万円・上限600万円、12歳以降は同意で引き出し可、18歳で大人のNISAへ自動移行・ただ、わざわざ子ども名義で運用する必要がある場面は多くなく、こどもNISAが活きる人は限られるのでは・年60万円は投資元本の枠の話で、贈与の110万円枠が増えるわけではない点に注意・「無条件にやらなきゃ」の前に、目的から逆算をよくある質問Q. こどもNISAは、いつから始められますか?A. 2027年からの予定です。2025年12月の税制改正大綱で方針が示された段階で、法改正はこれからです。制度の細部は今後変わる可能性もあります。Q. 子どもが生まれたら、すぐ始めたほうがお得ですか?A. 「早く始めるほど期間が長くなる」のは事実ですが、それが「子ども名義で」やる理由になるとは限りません。ご家庭の目的次第では、親名義で積み立てる形でも十分なことが多いように思います。Q. ジュニアNISAをやっていました。こどもNISAに移せますか?A. 別の制度なので、そのまま引き継がれるわけではありません。ジュニアNISAで保有中の分の扱いと、こどもNISAの新規利用は、分けて考える必要があります。詳しくはご相談ください。Q. 子育て世帯で、ほかに知っておくと得な税制はありますか?A. 23歳未満のお子さんを扶養している場合、生命保険料控除が一部上乗せされる措置があり、これが1年延長される方針が同じ大綱で示されています。ご家庭の状況で使えるかは個別に変わるので、こちらも確認をおすすめします。最後にここまで読んでいただき、ありがとうございます。大事なのは、制度に合わせて家計を考えるのではなく、家計の目的に合わせて制度を選ぶことだと思います。「うちの場合はどうなんだろう?」と迷ったら、その考え方を一緒に整理するところからお手伝いします。具体的なことは、ぜひ一度ご相談してみてくださいね。参考・出典:・金融庁「令和8年度税制改正について -税制改正大綱における金融庁関係の主要項目-」(2025年12月)・金融庁 税制改正大綱PDF:https://www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20251226-2/01.pdf・暦年贈与の基礎控除110万円(2026年時点で現行・受贈者ごと年110万円):国税庁ほか各社解説・ジュニアNISA終了に関する各社解説(三菱UFJ銀行・三井住友銀行ほか)免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や、個別の投資・税務助言ではありません。制度内容は2025年12月時点の税制改正大綱に基づくもので、今後の法改正により変更される可能性があります。投資は元本を保証するものではなく、過去の実績は将来の成果を約束するものではありません。個別の状況に応じた判断については、一度ご相談ください。