はじめに「家族を役員にして、役員報酬を支給している」そんな中小企業の経営者の方は少なくありません。一方で、家族を非常勤役員にすると社会保険はどうなる?配偶者を社会保険の扶養に入れられる?役員報酬はいくらにすればいい?家族に報酬を支給すると本当に節税になる?社会保険料まで考えると、かえって損をすることはない?このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。結論からいうと、家族を役員にする場合は、「いくら報酬を払うか」だけではなく、「実際にどのような仕事をしているのか」「社会保険上の扱いはどうなるのか」まで含めて考えることが重要です。特に重要なのが、「非常勤役員」という働き方と社会保険の関係です。非常勤役員だから自動的に社会保険の対象外になるわけではありません。役員については、役職名だけではなく、実際の就労形態や職務内容などを踏まえて判断する必要があります。また、「扶養」についても注意が必要です。社会保険上の扶養と、税金上の扶養では、それぞれ基準が異なります。そのため、「家族に役員報酬を支給する」↓「社会保険の扶養から外れる」↓「社会保険料が発生する」ということになれば、報酬を増やしたつもりでも、世帯全体で見ると手取りがあまり増えないケースがあります。こんにちは。元銀行員FPの青栁です。銀行員時代から現在まで、多くの中小企業経営者のお金や財務、役員報酬の設計について考えてきました。この記事では、「家族を非常勤役員にすると扶養はどうなるのか?」という疑問を中心に、非常勤役員と社会保険の関係社会保険の扶養に入れる条件役員報酬を決めるときの考え方家族を役員にするメリット注意しておきたいポイントについて、経営者の方が判断しやすいように整理します。家族を非常勤役員にすると社会保険はどうなる?まず理解しておきたいのが、「非常勤役員=社会保険に加入しない」ではないということです。役員の社会保険については、単純に「常勤」「非常勤」という名称だけで判断するのではなく、実際の勤務状況や職務内容などを踏まえて判断する必要があります。例えば、家族を役員にしていても、会社の経営にどの程度関与しているのかどのくらいの頻度で会社に勤務しているのかどのような仕事を担当しているのか役員としてどのような職務を行っているのかなどによって、社会保険上の取り扱いが変わる可能性があります。そのため、「名前だけ非常勤役員にすれば社会保険料を払わなくてよくなる」という考え方は適切ではありません。重要なのは、役職名ではなく、実態と制度上の取り扱いが一致していることです。家族を非常勤役員にすることで何が変わる?家族を役員にしている会社では、次のようなケースがあります。例えば、社長の妻が会社の役員になっているとします。妻が会社の経営に関与しており、一定の役員報酬を受け取っている場合、役員報酬をいくらにするのかだけでなく、社会保険に加入するのか、扶養に入る可能性があるのかまで考える必要があります。例えば、見直し前妻に月15万円の役員報酬↓年間180万円となっている場合。社会保険の加入対象となれば、本人の社会保険料負担が発生します。一方で、実際の勤務・職務実態が非常勤として整理でき、社会保険上の被扶養者の要件を満たす場合には、社会保険料負担を抑えられる可能性があります。例えば、見直し後妻に月10万円の役員報酬↓年間120万円という設計を考えるケースです。ただし、「月10万円なら必ず扶養に入れる」という意味ではありません。実際の職務内容や社会保険の適用関係、他の収入などを確認する必要があります。社会保険の扶養に入れるとどうなる?ここで重要なのが、社会保険上の扶養です。一般的に、健康保険の被扶養者として認定されるためには、年間収入など一定の条件を満たす必要があります。原則として、年間収入が130万円未満であることなどが基本的な基準となります。ただし、「年収130万円未満なら必ず扶養に入れる」というわけではありません。収入以外にも、同一世帯かどうか被保険者との収入関係他の収入があるか勤務先で社会保険の加入対象となっていないかなどを確認する必要があります。また、2026年4月1日以降は、労働契約の内容から見込まれる年間収入が130万円未満である場合の被扶養者認定について、一定の取り扱いが明確化されています。そのため、扶養を検討するときは、「年収だけを見る」のではなく、社会保険の加入要件と扶養認定の両方を見ることが大切です。「扶養」には2種類あるさらに注意したいのが、社会保険の扶養と税金の扶養は別物ということです。ここを混同している経営者の方は少なくありません。社会保険上の扶養健康保険などの被扶養者になれるかどうかを判断します。一般的な年間収入の基準として、130万円未満という数字があります。税金上の扶養所得税では、配偶者控除や配偶者特別控除などの制度があります。現在の税制では、配偶者控除・配偶者特別控除の判定は所得要件などによって決まり、単純に「103万円の壁」だけで判断することはできません。国税庁も、令和7年分以降の制度について配偶者の所得要件を示しています。つまり、社会保険の扶養と税金上の扶養は、それぞれ別に確認する必要があります。家族を非常勤役員にするメリット家族を非常勤役員として適切に設計することで、会社と家庭のお金を考えるうえでメリットが生まれる可能性があります。① 世帯全体の社会保険料負担を抑えられる可能性がある最も大きなポイントが社会保険です。家族が社会保険に加入することで、本人負担だけでなく、会社側にも社会保険料の負担が発生します。そのため、家族の役員報酬を決めるときには、「家族にいくら払うか」だけではなく、「会社と家族を合わせて最終的にいくら残るのか」を見ることが重要です。実際の勤務実態などを踏まえて社会保険上の扶養に入れることができるケースでは、世帯全体の社会保険料負担を抑えられる可能性があります。② 家族への報酬を適切に配分できる会社の経営を実際に手伝っている家族に対して、役員としての職務に応じた報酬を支給するという考え方もあります。例えば、経理総務経営管理取締役会への参加経営判断のサポートなど、実際に会社経営に関与しているのであれば、その職務内容に応じて報酬を検討することができます。ただし、「節税のためだけに名前だけ役員にする」という考え方は避けるべきです。役員報酬には税務上のルールもあるため、職務内容と報酬額の妥当性を含めて設計することが重要です。③ 世帯全体のお金の残り方を考えられる経営者の方が考えるべきなのは、会社の利益をいくら増やすかだけではありません。最終的に、会社と社長、そして家族にいくらお金が残るのかを見る必要があります。例えば、家族に高い役員報酬を支給しても、所得税住民税社会保険料会社負担の社会保険料などが増えれば、思ったほど世帯全体の手取りが増えない可能性があります。だからこそ、「家族への役員報酬」+「社会保険」+「税金」をセットで考えることが重要です。家族を非常勤役員にするときの役員報酬はいくらがいい?ここは非常に重要なポイントです。「扶養に入れるためには月10万円にすればいい」というように、最初から金額だけを決めるのはおすすめできません。まず、① 実際にどのくらい仕事をしているのかを確認します。そのうえで、② その仕事に対してどの程度の役員報酬が妥当なのかを考えます。そして、③ 社会保険の加入・扶養の判定を確認します。最後に、④ 税金と社会保険料を含めた世帯全体の手取りを確認します。つまり、職務内容↓報酬額↓社会保険↓税金↓世帯全体の手取りという順番で考えることが重要です。家族の役員報酬を決めるときの注意点役員報酬は、一般の従業員給与とは税務上の扱いが異なります。法人が役員に支給する給与については、定期同額給与や事前確定届出給与など、一定の要件を満たすものが損金算入の対象となります。そのため、「今年利益が出そうだから、年末に家族への役員報酬を増やそう」というような、利益調整だけを目的とした変更には注意が必要です。また、非常勤役員だからといって、年1回・年2回の支給方法がすべて自由になるわけではありません。非常勤役員への給与についても、支給方法や届出など、税務上のルールを確認する必要があります。家族を非常勤役員にするときの4つのポイント① 実際の勤務・職務実態を明確にする最も重要なのが、「本当に非常勤役員なのか?」という点です。例えば、月に何日程度会社に来るのかどのような仕事をしているのか経営にどの程度関与しているのか取締役会などに参加しているのかなどを整理しておきましょう。「非常勤」という肩書だけを付けるのではなく、実際の職務実態と一致していることが重要です。② 役員報酬の金額に根拠を持たせる役員報酬は、「扶養に入れるために月10万円」というように決めるのではなく、「この仕事だから、この報酬額」という根拠を持たせることが大切です。業務内容と報酬額のバランスを確認しましょう。③ 社会保険と税金を分けて考える「扶養」という言葉だけで判断すると、制度を間違えやすくなります。必ず、社会保険上の扶養と税金上の配偶者控除・配偶者特別控除を分けて確認しましょう。④ 記録を残しておく非常勤役員として設計するのであれば、職務内容勤務日数勤務時間役員報酬役員としての業務議事録などを整理しておくことも重要です。税務・社会保険のどちらについても、「なぜこのような設計にしているのか」を説明できる状態にしておきましょう。「家族を役員にすれば節税」は本当?よく、「家族を役員にして報酬を分散すれば節税できる」という話があります。確かに、家族が実際に会社の業務や経営に関与していて、その職務に応じた適切な報酬を支給することで、世帯全体の税負担を考える余地はあります。しかし、「家族を役員にすれば必ず節税になる」というわけではありません。なぜなら、役員報酬を支給すれば、家族側の所得税住民税社会保険料会社側の社会保険料などが発生する可能性があるからです。そのため、見るべきなのは、法人税だけではありません。「節税額」ではなく「最終的に残るお金」で考える例えば、「会社の利益が100万円減った」だけを見れば、「節税できた」と感じるかもしれません。しかし、家族の所得税住民税社会保険料会社負担の社会保険料まで含めると、世帯全体で残るお金は違ってきます。だからこそ、法人税がいくら減ったかではなく、会社+社長+家族で、最終的にいくらお金が残ったかを見ることが大切です。これは、役員報酬を考えるときの非常に重要な視点です。家族を非常勤役員にするなら「扶養」だけで決めないここまでの話を整理すると、「社会保険の扶養に入れるために、家族の報酬をいくらにするか」だけで考えるのはおすすめできません。先に、その家族が会社で何をしているのかを確認します。そのうえで、その仕事に対して適切な報酬はいくらなのかを考えます。そして、社会保険の加入・扶養、税金、会社負担まで含めて、世帯全体のお金の残り方を確認します。つまり、「扶養に入れるための役員報酬」ではなく、「実態に合った役員報酬を設計した結果、扶養に入れる可能性がある」という順番で考えることが大切です。よくある質問Q1.家族を非常勤役員にすれば社会保険に加入しなくてもいいですか?必ずしもそうではありません。役員については、役職名だけで社会保険の加入・非加入が決まるわけではなく、実際の就労形態や職務内容などを踏まえて判断する必要があります。Q2.妻を非常勤役員にして社会保険の扶養に入れられますか?実際の勤務・職務実態や収入などが一定の条件を満たせば、社会保険上の扶養に入れる可能性があります。ただし、非常勤役員であることだけで自動的に扶養に入れるわけではありません。健康保険の被扶養者認定については、収入要件などを含めて確認する必要があります。Q3.家族の役員報酬を年収130万円未満にすれば扶養に入れますか?必ずしもそうではありません。130万円未満というのは社会保険上の扶養を考える際の重要な基準の一つですが、他の要件もあります。また、勤務先で社会保険の加入対象となる場合には、単純に年収だけで判断することはできません。Q4.税金の扶養と社会保険の扶養は同じですか?違います。社会保険では健康保険などの被扶養者認定の基準があり、税金では配偶者控除・配偶者特別控除など、それぞれ別の制度があります。そのため、「扶養に入れるか?」と考えたときは、「社会保険の扶養なのか、税金上の扶養なのか」をまず明確にしましょう。Q5.家族を役員にすれば節税できますか?家族が実際に会社の仕事や経営に関与していて、その職務に応じた適切な役員報酬を支給することで、世帯全体の税負担を考えることはできます。ただし、役員報酬には税務上のルールがあります。また、社会保険料も含めて考える必要があるため、「役員報酬を増やせば節税になる」と単純に考えるのはおすすめできません。まとめ家族を非常勤役員にする場合に押さえておきたいポイントは、次の5つです。① 非常勤役員=社会保険の対象外ではない→ 役職名ではなく、実際の勤務・職務実態が重要② 社会保険の扶養と税金の扶養は別→ それぞれの基準を分けて考える③ 役員報酬は「扶養に入れるため」だけで決めない→ 職務内容と報酬額の妥当性を確認④ 「節税額」だけで判断しない→ 所得税・住民税・社会保険料・会社負担まで確認⑤ 最終的に見るのは「世帯全体にいくら残るか」→ 会社+社長+家族のお金をトータルで考える家族を役員にすることは、「節税のためのテクニック」として考えるよりも、「会社と家族のお金をどう設計するか」という視点で考えることが大切です。特に非常勤役員については、勤務実態 → 役員報酬 → 社会保険 → 税金 → 世帯全体の手取りという順番で整理すると、判断しやすくなります。関連記事役員報酬や会社と社長のお金を考えるなら、こちらの記事もおすすめです。【FP監修】役員報酬は「1円」で社会保険料が変わる?等級の仕組みと賢い決め方を元銀行員FPが解説【FP監修】役員の通勤手当は支給できる?交通費との違い・非課税の条件・節税メリットを解説【FP監修】役員借入金とは?会社への貸付金を整理・返済して社長の手取りを増やす方法を元銀行員FPが解説【FP監修】役員退職金とは?退職所得控除・税金・社会保険料の仕組みと手取りを増やす方法を元銀行員FPが解説最後に最後までお読みいただき、ありがとうございました。家族を役員にしている会社では、「役員報酬をいくらにするか」だけでなく、「社会保険料を含めて、会社と家族に最終的にいくらお金が残るのか」まで考えることが大切です。特に、家族を役員にしている家族に役員報酬を支給している社会保険料の負担が気になっている役員報酬をどう決めればいいか分からない会社と家族のお金をもっと整理したいという方は、まず自社のお金の現在地を確認することから始めてみてください。🎁 LINE登録者限定プレゼント5分でわかる!利益は出ているのに、お金が残らない会社10の原因診断たった10個の質問で、「自社のお金が、どこで減っているのか」を整理し、自社にお金を残すために、何から考えればいいのかを確認できます。この診断で得られること✅ 自社のお金が残りにくい原因を整理できる✅ 会社のお金の流れを見直すきっかけになる✅ 会社と社長にお金を残すための優先順位が見えてくる今回の記事で解説したように、家族への役員報酬や社会保険だけを見ていても、会社と家庭のお金の全体像は見えてきません。大切なのは、「会社のお金」「社長のお金」「家族のお金」を分けて考えながら、最終的に世帯全体にいくら残るのかを見ることです。この10の原因診断は、その第一歩として、「自社のお金が残る構造になっているか」を確認するためのものです。さらにLINEでは、元銀行員FPの青栁が、会社と社長に、お金と安心を残すための経営判断に役立つ情報をお届けしています。お受け取り方法① 下のボタンからLINEに登録② LINEで 「現在地」 と送る③ 無料特典を受け取る家族への役員報酬も、社会保険も、節税も。大切なのは、ひとつの制度だけを見ることではありません。会社と社長、そして家族に、最終的にいくらお金が残るのか。その視点で、自社のお金を一度整理してみませんか。%3Cdiv%20style%3D%22text-align%3Acenter%3B%20margin%3A40px%200%3B%22%3E%0A%0A%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Flin.ee%2FuSKIdlG%22%0A%20%20%20target%3D%22_blank%22%0A%20%20%20rel%3D%22noopener%20noreferrer%22%0A%20%20%20style%3D%22%0A%20%20%20%20%20%20display%3Ainline-block%3B%0A%20%20%20%20%20%20background%3A%2306C755%3B%0A%20%20%20%20%20%20color%3A%23ffffff%3B%0A%20%20%20%20%20%20text-decoration%3Anone%3B%0A%20%20%20%20%20%20padding%3A18px%2048px%3B%0A%20%20%20%20%20%20font-size%3A20px%3B%0A%20%20%20%20%20%20font-weight%3Abold%3B%0A%20%20%20%20%20%20border-radius%3A999px%3B%0A%20%20%20%20%20%20box-shadow%3A0%208px%2020px%20rgba(0%2C0%2C0%2C.15)%3B%0A%20%20%20%20%20%20transition%3Aall%20.3s%20ease%3B%0A%20%20%20%20%20%20font-family%3A-apple-system%2CBlinkMacSystemFont%2C'Helvetica%20Neue'%2C'Yu%20Gothic'%2Csans-serif%3B%0A%20%20%20%22%3E%0A%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%AB%E3%81%8A%E9%87%91%E3%81%8C%E6%AE%8B%E3%82%8B%E7%B5%8C%E5%96%B6%E3%81%AE%E7%AC%AC%E4%B8%80%E6%AD%A9%E3%82%92%E5%A7%8B%E3%82%81%E3%82%8B%0A%3C%2Fa%3E%0A%0A%3C%2Fdiv%3E%0A※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務・社会保険上の判断については、必ず顧問税理士・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。