iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に、自分で老後の資産を作るための私的年金制度です。少子高齢化による年金・退職金の減少を背景に、自営業者や企業年金のない会社員のために導入されました。iDeCoへの加入は任意ですが、公的年金と組み合わせれば、老後をより豊かに過ごすことができるでしょう。参考:厚生労働省|iDeCoの概要iDeCoのしくみiDeCoは以下の4つのステップから成り立っています。商品を選ぶ掛金を決める運用する老後に受け取るまずは、運用商品(投資信託や保険商品等)の中から、ご自身で商品を選びます。そして、毎月の掛金を決めて、コツコツと積み立てて運用します。その後、60歳以降に掛金と運用益の合計額を、年金として分割して受け取るか、一時金として一括で受け取ることができます。20~64歳の人は原則誰でも加入できるiDeCoには、原則として20〜64歳の人は誰でも加入できます。しかし、以下のケースでは加入できないので、注意しましょう。国民年金の保険料を支払っていない農業者年金に加入している企業型確定拠出年金(企業型DC)のマッチング拠出を選択している企業型DCの事業主掛金が拠出限度額を超えているiDeCoの老齢給付金を受給したことがある老齢基礎年金を繰り上げ受給している参考:iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ)の仕組み月々5000円から始められるiDeCoは月々5,000円から始めることができ、1,000円単位で自由に掛金を設定できます。そのため、資金に余裕のない方でも、無理のない範囲で老後の資産形成を始められます。一方で、月々の掛金の限度額は決まっているため注意しましょう。下の表にまとめたので、参考にしてください。加入区分加入対象となる方拠出限度額国民年金の自営業者とその家族、フリーランス、学生など月額6.8万円国民年金の会社員、公務員など会社に企業年金がない会社員月額2.3万円企業型DCのみに加入している会社員月額2.0万円確定給付企業型年金(DB)と企業型DCに加入している会社員月額1.2万円DBのみに加入している会社員公務員国民年金の専業主婦(夫)月額2.3万円参考:iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ)の仕組みiDeCoのメリットiDeCoに加入するメリットは以下の3つです。所得税と住民税が軽減される運用益が非課税受取時も税制優遇を受けられるそれぞれ解説します。所得税と住民税が軽減されるiDeCoで支払った毎月の掛金は、全額所得控除されるため、当年分の所得税と翌年分の住民税が軽減されます。実際にどれくらいの節税効果があるのか、以下の条件で試算してみましょう。職業:会社員年収:600万円(うち賞与80万円)iDeCoの掛金:毎月12,000円(年間144,000円) iDeCoなしiDeCoあり節税額所得税額298,000円283,600円14,400円住民税額298,000円283,600円14,400円合計596,000円567,200円28,800円上記のモデルケースの場合、所得税と住民税を合わせて年間で約28,800円の節税ができます。10年間でおよそ30万円節税できるため、節税効果は非常に高いと言えるでしょう。節税額はその人の年収や掛金によって異なりますが、老後資産の形成をしながら、同時に節税もできるのは大きなメリットと言えます。運用益が非課税通常、金融商品を運用すると、運用益に20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が課税されます。しかし、iDeCoでの運用益は完全非課税のため、効率的に老後の資産形成ができます。実際にどれくらいの節税効果があるのか、以下の条件で試算してみましょう。iDeCoの掛金:毎月23,000円(年間276,000円)運用利率:3%運用期間:30年 iDeCoなしiDeCoあり運用益5,122,948円5,122,948円課税額1,040,727円0円手取額4,082,221円5,122,948円上記の場合は、通常は税金として引かれる約104万円を受け取れるため、非常に大きな節税効果があると言えます。参考:iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ)のイイコト受取時も税制優遇を受けられる60歳以降に掛金と運用益の合計額を、年金として分割して受け取る場合は「公的年金等控除」の対象となります。具体的には、所得が10,000,000円以下の家庭の場合、公的年金やiDeCoなどを合計した年間の受取額が、65歳未満の場合は600,000円、65歳以上の場合は1,100,000円以下であれば税金がかかりません。また、60歳以降に掛金と運用益の合計額を、一時金として一括で受け取る場合は、「退職所得控除」の対象となります。詳細は以下の通りです。 勤続年数退職所得控除20年以下40万円 × 勤続年数20年超800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)例えば、iDeCoで20年間積み立てた場合、退職所得控除額は800万円となるため、一時金として受け取る金額が800万円以下であれば、税金はかかりません。参考:国税庁|公的年金等の課税関係参考:国税庁|退職金を受け取ったとき(退職所得)iDeCoのデメリットiDeCoに加入するデメリットは以下の3つです。原則60歳まで掛金の引出しができない元本割れのリスクがある各種手数料がかかるそれぞれ解説します。原則60歳まで掛金の引出しができないiDeCoは、原則60歳まで掛金の引出しができません。なぜなら、iDeCoは60歳以降の老後の資産を作るために、国が税制上の優遇を設けている制度だからです。そのため、家を購入する際の頭金にしたり、子供の学費に使ったりすることは難しいでしょう。しかし、以下のケースでは60歳になっていなくても、掛金を引き出せます。加入者が死亡した場合加入者が病気や怪我で障害を負った場合また、加入期間が10年に満たない場合は、受け取れる年齢が以下のように変化するため注意してください。通算加入期間受給開始年齢10年以上60歳8以上10年未満61歳6年以上8年未満62歳4年以上6年未満63歳2以上4年未満64歳1ヶ月以上2年未満65歳そのため、iDeCoでは途中で引き出せないことを前提として、無理のない範囲で掛金を設定しましょう。参考:iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ)の仕組み元本割れのリスクがあるiDeCoの運用商品で、元本変動型の投資信託を選択すると、元本割れのリスクが出てきます。もちろん、iDeCoは老後資産を形成するための長期投資になるため、収益率が安定しやすい傾向があります。しかし、価格が上がったり下がったりすることが気になってしまう場合には、デメリットになりえるでしょう。各種手数料がかかるiDeCoで資産運用すると、以下の手数料がかかります。 支払い先支払うタイミング金額(税込)加入時手数料国民年金基金連合会加入時のみ2,829円口座管理手数料国民年金基金連合会毎月105円信託銀行毎月66円金融機関毎月金融機関で異なる移換時手数料金融機関移換時のみ2,829円特に、口座管理手数料(171円+金融機関に支払う手数料)は毎月発生することになります。そのため、iDeCoで資産運用する際には、手数料が0円のネット証券などの金融機関を選ぶと良いでしょう。参考:iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ)の仕組みまとめここまでiDeCoについてまとめてきましたが、iDeCoは老後の資産を作る上で、非常に有効な制度と言えるでしょう。なぜなら、節税のメリットが非常に多いからです。例えば、毎年の所得税と住民税が軽減されたり、運用益が非課税になったりするだけでなく、受取時も税制優遇を受けることができます。もちろん、60歳まで引き出せなかったり、各種手数料がかかったりとデメリットも存在します。しかし、これらのデメリットと先のメリットを比べた際、長期投資の視点で考えると、メリットの方がはるかに大きいでしょう。そのため、老後の資産形成について悩まれている方は、一刻も早くiDeCoを始めるべきです。ただし、商品の選び方や毎月の掛金、受け取り方法など全てを自分で決めるのは不安な方が多いと思います。そのような際には、一度専門家と面談して、老後の資産形成に関して相談してみてはいかがでしょうか。「まずは気軽にお金のことを相談してみたい!」という方にお勧めなのが、MoneypediaのオンラインFP相談サービスです。保険やライフプランをはじめとするお金のことをいつでも・どこでも・気軽に・何度でも専門家に相談することが出来ます。まずは一度、ご相談されてみてはいかがでしょうか。