老後資金を準備する方法とは老後資金としてまず思いつくのが公的年金だと思います。しかし、現役時代の生活水準を維持するためには公的年金だけでは不十分であるとも言われています。公的年金だけに頼るのではなく、自助努力によって準備することの必要性が高まっています。老後資金は自分で用意する時代へと変わりつつあるようです。それでは、どのように老後資金を準備すればよいのでしょうか? 個人年金保険とiDeCo(個人型確定拠出年金)の違い老後2,000万円問題が世間で騒がれていますが、老後資金をどのように準備しようか悩んでいる方も少なく有りません。それぞれの生活水準に応じて、老後資金を準備していくわけですが、どのように準備するのがよいのでしょうか?老後資金準備のための自助努力には預貯金が挙げられますが、低金利の時代には預貯金だけで準備するのは限界があります。そこで資産形成に注目が集まっています。老後資金の準備方法である資産形成の有力な選択肢になりうる「個人年金保険」と「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を比較してみたいと思います。 個人年金保険とは個人年金保険とは自助努力によって年金を用意する方法です。個人年金保険には保険料払込期間があり、例えば契約時から60歳まで保険料を払い続け、資産が貯まっていきます。保険料払込期間が終了した時点で年金原資ができている状態となります。年金原資をもとに一定の年金受取期間に年金を受け取るのが個人年金保険の仕組みです。ちなみに保険料払込期間中に死亡した場合は既払込保険料相当額の死亡保険金を受け取ることになります。 個人年金保険の返戻率個人年金保険の商品を選ぶ際に確認すべきなのが「返戻率」です。返戻率とは個人年金保険の払込保険料に対して、受け取る年金額がいくらなのかを表したものです。返戻率が高いほど、たくさんの年金を受け取れてお得だということです。返戻率は受取年金総額÷払込保険料総額×100で求めることができます。 個人年金保険料控除とは個人年金保険には税金上の優遇措置として個人年金保険料控除があります。個別のケースによりますが、年間で1万円程度の税金の軽減となり、税の軽減を利回りと見なせば年利10%を超える節税メリットがあります。 iDeCo(個人型確定拠出年金)とはiDeCoとは”Individual Defined Contribution Plan”の略称であり、日本語では個人型確定拠出年金と言います。自分で拠出した掛金を運用して、老後資金を準備する年金制度です。基本的に20歳以上60歳未満のすべての人が加入可能で、老後資金準備の有効な手段と位置づけられています。 iDeCo(個人型確定拠出年金)の特徴確定拠出ですので、拠出するお金は決まっていますが、将来いくら年金を受けることができるかは運用の成果次第となります。また、iDeCoは60歳以降でないと引き出すことが出来ません。iDeCoには「元本確定型」と「元本変動型」の2つの種類があります。「元本確定型」はいわゆる定期預金で、元本が保証されていて安全性が高いのが特徴ですが、利回りが低いのがデメリットです。一方で、「元本変動型」は投資信託であり、運用状況に応じて、元本の変動があります。 iDeCo(個人型確定拠出年金)の注意ポイントiDeCoは年金という性質上60歳まで引き出すことが出来ません。掛金を途中でストップすることは出来ますが、途中で引き出すことが出来ないので、緊急的にお金が必要となっても引き出せないので、余裕資金で運用することが重要です。 個人年金保険とiDeCo(個人型確定拠出年金)のメリット・デメリットそれでは個人年金保険とiDeCo(個人型確定拠出年金)それぞれのメリット・デメリットについて解説します。それぞれのメリットとデメリットを押さえて、自分に最適な方法を見つけましょう。 個人年金保険のメリット・デメリット個人年金保険のメリットは主に2つあります。1つ目は確実な積み立てができるという点です。一般的な銀行預金では自分で意識をしないとお金を貯めることは出来ませんが、個人年金保険であれば毎月自動で引き落としがされますので、意識しないでお金を貯めることができます。2つ目は銀行の普通預金よりも高い運用利率が期待できる点です。一方で現在のような低金利の状況では個人年金保険も運用利回りは低く抑えられています。一方で、個人年金保険のデメリットは3つあります。1つ目は途中解約リスクです。個人年金保険を途中で解約してしまうと払い込んだ保険料よりも少ない解約返戻金しか受け取れず、元本割れになってしまいます。2つ目はインフレに弱いという点です。将来の年金額が決まっている確定型の場合は物価上昇によって実質資産が目減りしてしまいます。3つ目は保険会社の破綻リスクです。加入している生命保険会社が破綻した場合は生命保険契約者保護機構で契約は保護されますが、将来受け取る年金額が減ってしまいます。保険会社の破綻リスクは大きいわけではありませんが、ゼロではないことを考慮する必要があります。iDeCoは税金や安くなるのがメリットですが、大きく分けて2つのメリットがあります。1つ目は運用で得た利益への課税約20%が非課税になります。本来投資で得た利益には20%の税金が掛かりますが、iDeCoの口座を使って運用した場合は利益に税金がかかりません。したがって、投資の運用の利益がすべて自分のものになります。2つ目は掛金がすべて所得控除になる点です。サラリーマンの方は所得に直接税金が掛かるわけではなく、扶養控除や医療控除など経費として所得控除があります。iDeCoで払った掛金は所得控除で経費にできるので、その分課税対象額が低くなります。したがって、iDeCoの掛金に比例して所得税が安くなります。また、住民税は所得に対して原則10%がかかりますので、所得税だけではなく住民税も安くなります。一方で、iDeCoのデメリットは3つあります。1つ目は受取時に税金がかかる点です。メリットにある通り、iDeCoの掛金は所得控除になり、運用中の利益も非課税になりますので、節税効果があります。しかし、受取時には税金がかかります。しかし、これはiDeCoに限らず公的年金でも同様です。2つ目はサラリーマンの場合には会社の手続きが必要である点です。会社員や公務員の方は勤務先に証明書の発行手続きを依頼する手続きが必要になります。また、ネットのみの手続きではなく書面で手続きをしなければいけないのも面倒な点です。3つ目は始める際と毎月手数料が掛かる点です。iDeCoは加入時や毎月の運用で手数料がかかります。加入時には国民年金基金連合会に2,829円の手数料を支払う必要があります。毎月掛かる手数料については証券会社によって異なりますが、国民年金基金連合会や証券会社、信託銀行に支払う手数料が含まれています。証券会社に支払う手数料は運営管理手数料と呼ばれるものですが、ネット証券では無料の場合が多いのですが、大手の金融機関では数百円掛かることがあります。したがって、iDeCoを始める際にはネット証券を選んだほうが手数料は安く済みます。ただし、加入時と毎月掛かる手数料を考慮しても節税メリットの方がお得になります。 個人年金保険とiDeCo(個人型確定拠出年金)を比較シミュレーションそれでは30歳から毎月10,000円を30年間積み立てた場合の個人年金保険とiDeCoのシミュレーション結果を比較してみたいと思います。 ①想定利回りと60歳時点での金額現在の利回りですが、個人年金保険の場合は0.15%程度と想定し、iDeCoに関しては運用商品として、元本保証型(定期預金タイプ)の商品を選んだ場合の0%と、元本変動型(投資信託タイプ)の商品を選んだ場合に実現可能と思われる4%の2パターンで比較してみます(この利回りは手数料控除後の実質利回り)。60歳時点での金額について預貯金と比較しながら見ていきましょう。預貯金の場合360万円(より正確には360万538円)となります。個人年金保険の場合は368万円(より正確には360万1,933円)となります。一方iDeCoの場合は、少なくとも毎月237円の手数料が控除されるので、実質的には9,763円を積み立てていくことになりますから、元本保証型(利回り0%)を選択した場合は351万円(より正確には351万4,680円)、元本変動型(利回り4%)なら677万円(より正確には677万6,004円)となります。30年間という長期に渡って運用することを前提とした場合は預貯金や個人年金保険ではほとんど元本を増やすことが出来ません。しかし、iDeCoの元本変動型を選択し、運用が好調に推移した場合は元本を大きく増やすことができます。一方で、元本変動型は経済情勢によっては元本割れのリスクもあることを覚えておきましょう。 ②積立期間中の節税効果つづいて、積立期間中の節税効果について見ていきましょう。個人年金保険の場合は税金上の優遇措置として個人年金保険料控除があり、iDeCoの場合は掛金がすべて所得控除になることは既に述べた通りです。まず、預貯金の場合は優遇措置がないので、税制上のメリットはないことになります。個人年金保険については、払い込んだ保険料の一部が生命保険料控除(中でも、個人年金保険料控除)という所得控除になります。所得税率10%、住民税率10%とした場合、所得税については年間20,000円、住民税については年間14,000円が所得控除になりますので、年間で3,400円、30年間だと102,000円の節税になります。一方iDeCoの場合には、拠出した金額の全額が小規模企業共済等掛金控除という所得控除になりますので、所得税、住民税それぞれについて年間120,000円が所得控除になります。つまり、年間で24,000円、30年間だと720,000円の節税になるわけです。このように節税効果はiDeCoが最も大きいことが分かります。 ③受取時の課税60歳時点で受け取る場合に預貯金、個人年金保険、iDeCoでそれぞれどのように課税されるかについて見ていきたいと思います。預貯金は、積み立て中に毎年利子については課税されていますから、受取時は特に課税されることはありません。一方、個人年金保険の場合、税制上は一時所得という扱いになります。ただし、一時所得は50万円の特別控除があり、一時所得が50万円を超えないと課税されません。今回の例では、一時金として受け取ったとしても、368万円 – 360万円 = 8万円ですので、他に一時所得になる所得がない場合は、課税されません。最後にiDeCoの場合ですが、一時金で受け取る場合には退職所得で分離課税、年金形式で受け取る場合には雑所得(公的年金等控除の対象)で総合課税となります。まず一時金の場合ですが、退職所得は退職所得控除と呼ばれる控除額があり、30年間ですと750万円となります。他に退職所得がない場合は、750万円までは非課税になりますので、今回の事例では課税されないことになります。また年金形式の場合、雑所得になるのですが、これはその時に他の雑所得(主には公的年金)やその他の所得(給与所得など)と合算されて課税される総合課税になります。働き方や公的年金の受け取り方によっても変わってきますので一概には言えませんが、受け取る時点で高い所得税率になっている方はそれほど多くないのではないかと思います。 ④積立金の流動性流動性とはすぐに現金として引き出せるかどうかということです。老後の生活のためにお金を積み立てていたとしても、将来何が起こるかは分かりません。もしかしたら、マイホームの購入や子供の養育費、突発的な事故などで途中で大きなお金が突然必要になるというケースもあります。そのような場合に、個人年金保険やiDeCoはすぐに引き出して自由に使えるのでしょうか。まず預貯金の場合ですが、普通預金の場合、元本が保証されているうえに自分の好きなタイミングで引き出すことが可能です。この点、預貯金の流動性はかなり高いと言えるでしょう。一方、個人年金保険の場合、途中解約はできるのですが、手数料が控除されます。さらに加入期間が一定期間に達していない場合には解約返戻金が既に支払った保険料を下回ることが一般的です。個人年金保険は途中で解約することを前提としていないので、その時までに払い込んできた保険料合計額を下回った金額が戻ってくるのです。したがって、緊急でお金が必要になったときに対応できるかという点においては流動性は低いと言わざるを得ないでしょう。ただし生命保険会社の保険商品に加入している場合には契約者貸付という制度を利用することができます。これは解約返戻金の範囲内で生命保険会社から比較的低い金利でお金を借りることができる制度です。契約者貸付を利用すれば緊急でお金が必要になったときにも対応できますが、あくまで「貸付」ですので、借金として返済しなければならないことを理解しておきましょう。最後にiDeCoの流動性について考えてみましょう。iDeCoは老後に向けた年金制度という位置づけですので60歳まで途中で引き出すことはできません。したがって、流動性はきわめて低いと言わざるをえず、iDeCoの利用を開始する際には今後必要になるお金を考えた上で、あくまで余裕資金で運用することを前提にしましょう。つまり、iDeCoを始める際には、自由になるお金とiDeCoの残高のバランスを考えながら利用していくことが重要です。 個人年金保険とiDeCo(個人型確定拠出年金)の選び方それでは、個人年金保険とDeCo(個人型確定拠出年金)ではどちらを選択すべきなのでしょうか?それぞれに向いている人、向いていない人について確認してみましょう。 年金保険が向いているケース個人年金保険のメリットは生命保険会社が提供している保険商品を選択すれば、運用や投資商品の選択をすべて生命保険会社が代行してくれることです。金融知識がなくても生命保険会社がすべてやってくれるので、運用や投資の経験がなく、金融の知識がなくても老後資金を用意したい人は個人年金保険に向いています。また預貯金と異なり、毎月保険料が自動で引き落としされるので、確実に積み立てができます。したがって、お金を貯めていても途中で挫折してしまった経験がある人には個人年金保険は大きなメリットになります。 個人年金保険が不向きなケース預貯金を大きく上回るリターンを追求したい人には個人年金保険は向いていません。長引く低金利の影響で個人年金保険の運用利回りは低い水準で停滞しています。定期預金と比較してもほとんど変わらない水準まで下落しているので、大きなリターンを期待したい人がわざわざ個人年金保険を選択する理由はないと言えます。やはり利回りだけを見れば個人年金保険よりもiDeCoの方が有利だと言えます。 iDeCo(個人型確定拠出年金)が向いているケースiDeCo(個人型確定拠出年金)に向いている人は高所得の人です。所得が多い人は自分で老後資金を準備できるので、iDeCoは必要ないようにも思えます。しかし、iDeCoの場合は掛金がすべて所得控除になるというメリットがあるので、高所得の人の節税効果は低所得の人と比べて大きくなります。また、iDeCoの元本変動型では投資信託で資金を運用して、将来の老後資金を準備しますので、高いリターンを期待したい人はiDeCoが適しています。60歳まで引き出しが出来ない一方で、長期に渡り運用すると複利の効果で運用の効果が大きくなりますので、若いうちから始めるほど大きなリターンを期待できます。 iDeCo(個人型確定拠出年金)が不向きなケース積み立てたお金を途中で引き出す必要がある可能性がある人はiDeCoに向いていません。iDeCoは60歳まで引き出すことが出来ませんが、数年後に「マイホームを購入したい」「子供の養育費が必要だ」となった場合であっても60歳まではお金を引き出すことはできません。とはいっても将来のどの時点でお金が必要になるかは分からないものです。もし、臨機応変に積立金を引き出したいと考えているのであれば、普通預金に預けておくか、NISAなどで運用しておくほうがよいでしょう。もしくは将来必要な金額を計算し、必要にならないであろう余裕資金でiDeCoを始めるのがよいと言えます。 個人年金保険はiDeCoとの併用がオススメ一般的によく知られていませんが、実は個人年金保険とiDeCoは併用することが出来ます。個人年金保険は個人年金保険料控除という生命保険料控除の一部であり、払込保険料に応じて、所得税と住民税が課税所得から控除されます。一方で、iDeCoの掛金控除の対象は小規模企業共済等掛金控除です。したがって、両者の控除の対象は全く異なるので、併用が可能なのです。iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となり、多くのお金を積み立てるほど税制上の優遇が受けられます。一方で、個人年金保険は保険料が8万円を超過した場合は所得税の控除は一律4万円、また5万6,000円の保険料を超えた場合は住民税の控除が一律で2万8,000円と控除される金額に制限があります。したがって、個人年金保険とiDeCoを併用する際には税制上の優遇を最大限に受けるためにiDeCoに出来る限り多くの掛金を拠出し、余ったお金を個人年金保険で積み立てることでお得になります。 まとめ老後資金を準備するための選択肢として個人年金保険とiDeCoを比較しながら、解説してきましたが、いかがだったでしょうか?個人年金保険は確実な積み立てができる、銀行の普通預金よりも高い運用利率が期待できる一方で、途中解約リスクやインフレ、保険会社の破綻リスクといったリスクを抱えています。iDeCoは運用で得た利益への課税約20%が非課税になる、掛金がすべて所得控除になるというメリットがある一方で、受取時に税金がかかる、サラリーマンの場合には会社の手続きが必要である、始める際と毎月手数料が掛かるといったデメリットがあり、それぞれにメリット、デメリットがあるので、比較検討し、うまく使い分けましょう。一概にどちらのほうが優れているとは言えませんが、老後資金の準備の手段について情報収集を行ない、自分の状況や将来のプランに合った貯蓄方法を選ぶようにしましょう。しかし、それでも個人年金保険とiDeCo(個人型確定拠出年金)や老後資金の準備方法について不明点や不安な点があるかもしれません。その場合にはプロに相談しましょう。ぜひ相談したいのがSYN Group株式会社です。働き方が多様化し寿命が格段に延びる「LIFE SHIFT」の起きている現代。金融資産の側面を見ても、「これまで」の知識やルールは通用せず、「これから」の知識やルールが不可欠になっています。人々が“お金”を味方につけて、人生の可能性を一層と拡げていける仕組みを 作るために、“独立系金融アドバイザー”という現代のビジネスモデルでもって挑戦していきます。そして、「まずは気軽に保険のことを相談してみたい!」という方にお勧めなのが、Moneypediaのオンライン保険相談サービスです。保険のことをいつでも・どこでも・気軽に・何度でも専門家に相談することが出来ます。まずは一度、下記リンクからご相談されてみてはいかがでしょうか。Moneypediaのオンライン保険相談サービスいつでも・どこでも・気軽に・何度でも専門家に相談