学資保険の税金と受取人の関係学資保険に加入する際は、「契約者・被保険者・受取人」を必ず決めなければなりません。被保険者は保険の対象となる人物のことなので、学資保険の場合は子供になります。契約者は保険契約に関しての権限を持ち保険料の支払いをする人のことで、特別な事情がない限り親がなることが多いです。受取人は学資金を受け取る対象人物のことです。 子供のための教育資金だから受取人も子供にした方がいいのでは?と思う方も多いかもしれませんが、契約者と受取人は同一人物にするのが通常です。なぜなら、契約者と受取人の関係によって、学資金を受け取る際の税金の種類が変わってくるからです。契約者と受取人が同一人物の場合は「所得税」、別人の場合は「贈与税」の対象になります。※2024年9月時点の税法をもとに執筆しておりますが、個別税務につきましては所管の税務署へご確認をお願い致します。 受取人が契約者以外だと贈与税の対象受取人が契約者以外だと「贈与税」の対象になります。贈与とは、人から人へ無償で財産を譲り渡す、という意味があります。学資保険の場合、保険料の支払いをするのは契約者なので「契約者から受取人へ無償で学資金を譲り渡す」とみなされ、贈与税の対象となるのです。 受取人が契約者だと所得税の対象受取人が契約者の場合は「所得税」の対象となります。契約者が自分で支払ったお金を基に学資金を受け取るため、自分の所得になるとみなされるためです。この場合、受け取る学資金が「満期保険金」か「年金形式の学資金」かで所得の区分が変わってきます。詳細は後ほど詳しく解説しますので、まずは、契約者と受取人の関係で税金の種類が変わることを理解しましょう。 学資保険で贈与税が課されるケース先ほど、契約者と受取人が別人の場合は贈与税の対象となることをお伝えしましたが、該当する全ての方が贈与税を支払う義務がある訳ではありません。贈与税には基礎控除があり、1年間の間に贈与した金額が110万円を超えた場合だけ、贈与税が課税されます。つまり、学資保険の場合、契約者と受取人が別人の場合でも年間受取額が110万円以下の場合は贈与税は課税されないのです。ただし、これは学資金以外の贈与がなかった場合の話です。 贈与税の基礎控除とは基礎控除とは、課税対象者の収入から無条件で差し引くことができる一定の金額のことです。贈与税の基礎控除は110万円になります。贈与に関しては、この110万円という数字は重要になるので、忘れないようにしましょう。 贈与税の算出方法贈与税は下記の計算式で算出されます。(年間贈与額−基礎控除110万円)×贈与税率−控除額贈与税を算出するには、3つのステップを確認する必要があります。まず第1ステップとして、年間贈与額が110万円を超えているか超えていないかを確認しましょう。超えていない場合は贈与税はかかりません。110万円を超えていた場合は、第2ステップで贈与区分の確認をしていきます。贈与区分は下記の2種類に分かれ、受取る人の年齢や関係性で変わります。特例贈与財産→直系尊属から20歳以上の人への贈与一般贈与財産→特例贈与財産以外の場合(直系尊属から20歳未満の人への贈与、もしくは他人や直系尊属以外の親族からの贈与など)直系尊属とは、自分より前の世代で直通する系統の親族のことです。父母・祖父母・義父母などが該当します。「直系」なので、縦のラインをイメージすると解りやすいでしょう。そのため、横のつながりになる、叔父・叔母・配偶者の父母などは含まれません。贈与区分を確認したら、第3ステップとして贈与税率と控除額の確認をします。基礎控除後の課税対象額一般贈与財産特例贈与財産贈与税率控除額贈与税率控除額200万円以下10%-10%-200万円超300万円以下15%10万円--300万円超400万円以下20%25万円15%10万円400万円超600万円以下30%65万円20%30万円600万円超1,000万円以下40%125万円30%90万円1,000万円超1,500万円以下45%175万円40%190万円1,500万円超3,000万円以下50%250万円45%265万円3,000万円超55%400万円--3,000万円超4,500万円以下--50%415万円4,500万円超--55%640万円最終ステップで、基礎控除後の課税対象額に税率を乗じ、最後に控除額を差し引いたら贈与税が算出できます。 贈与税の計算シミュレーション学資保険では祖父母から孫へ学資保険をプレゼントするケースもよくあります。そこで下記のようなケースの贈与税を計算していきましょう。ケース①「契約者が祖父・被保険者が孫・18歳満期時に500万円の満期保険金を受け取った場合」500万円−110万円=390万円390万円×20%−25万円=53万円この場合、直系尊属からの20歳未満の贈与のため、一般贈与財産の税率になります。受取人は、満期保険金受取時に53万円の贈与税が課税されます。大きな金額のため、返戻率でプラスになった分も無くなってしまう可能性があるでしょう。ケース②「契約者が祖父・被保険者が孫・18歳から年に1回100万円を合計5回受取る年金タイプの場合」100万円−110万円=−10万円同じ受取総額500万円の場合でも年金タイプの場合は贈与税はかかりません。贈与税は所得税より高額になってしまうので、基本的には契約者と受取人は同じ人物にすることをおすすめします。しかし、事情によりそれができない場合は、受取方法が年金タイプの商品を選ぶなどの方法を取り、できるだけ贈与税がかからないようにすることをおすすめします。 学資保険で所得税が課されるケース契約者と受取人が同一人物の場合は所得税の対象になることを冒頭でお伝えしましたが、所得税も全ての方が支払う義務がある訳ではありません。この章では、学資保険で所得税が課せられるケースを解説していきます。 学資保険と所得税の仕組みまずは、学資保険と所得税の仕組みを把握しましょう。契約者と受取人が同一人物の場合は所得税の対象にりますが、受取る学資金によって所得の区分が変わってきます。下記の表をご覧ください。契約形態学資金の種類税金の種類区分契約者と受取人が同一人物満期保険金所得税一時所得年金形式の学資金雑所得このように同じ学資保険でも、学資金の種類によって所得の区分が変わってきます。 満期保険金を一括で受け取るケース現在販売されている学資保険は、商品によって受取方法は様々です。この章では、満期保険金を一括で受け取る場合に所得税が課税されるケースを解説していきます。 一時所得の算出方法所得税の一時所得は下記の計算式で算出します。(満期保険金−払込済保険料総額−特別控除50万円)×2分の1まず第1ステップとして、一時所得が課税される対象かどうかの確認をしましょう。一時所得は、満期保険金が払込済保険料総額より50万円超の場合のみ課税対象になります。つまり、差額が50万円以下の場合は課税対象にならないので、現在の学資保険の返戻率を考慮すると、課税対象になるケースは少ないでしょう。もし50万円を超えた場合は第2ステップとして、課税対象額の計算をします。満期保険金と払込済総保険料額の差額の2分の1が課税対象額になります。ここで算出された金額が一時所得の課税対象金額になります。ちなみに「所得」にはいろいろな種類があり、それぞれの所得の合計金額に税率を乗じる「総合課税所得」と個別で税率を乗じる「分離課税所得」があります。総合課税の対象には「事業所得・配当所得・不動産所得・給与所得・山林所得・一時所得・雑所得」が含まれます。つまり、ここで算出された一時所得の他に総合課税の対象になる所得がある場合は、それらの所得を合算し、下記の表で確認した税率を乗じることで、所得税が算出できます。■参考:所得税の税率と控除額課税対象額所得税率控除額195万円未満5%0円195万円以上330万円未満10%9.75万円330万円以上695万円未満20%42.75万円695万円以上900万円未満23%63.6万円900万円以上1,800万円未満33%153.6万円1,800万円以上4,000万円未満40%279.6万円4,000万円以上45%479.6万円 一時所得の計算シミュレーション学資保険で一時所得の対象となるケースをシミュレーションしてみましょう。ケース①「満期保険金額300万円・支払済保険料総額285万円(返戻率105.3%)」の場合300万円−285万円−50万円=−35万円このように数値がマイナス(0円以下)の場合は所得税は課税されません。ケース②「満期保険金額800万円・支払済保険料総額733万円(返戻率109.2%)」の場合800万円−733万円−50万円=17万円17万円÷2=8.5万円上記の場合は8.5万円が課税対象額になります。 毎年祝い金を受け取るケース学資保険の受取方法には、「学資年金」と言われるような毎年お祝い金を受け取るタイプもあります。最近は大学在学時に年金形式で受け取れる商品の人気が高い傾向があり、満期保険金を一括で受け取るタイプより年金形式の方が主流になりつつあります。契約者と受取人が同一人物で、学資金を年金形式で受け取る場合は所得税の「雑所得」の対象になります。 雑所得の算出方法雑所得は下記の計算式で算出します。受取年額−{受取年額×(払込済保険料総額÷学資金受取総額)}一時所得とは異なり、特別控除はありません。そのため、算出された金額がそのまま課税対象額となります。ただし、契約者が会社員の場合は20万円までは課税されません。これは、給与所得と退職所得以外の所得の合計金額が20万円までの場合は非課税となるためです。残念ながら自営業の方は非課税枠はないため、金額そのままが課税対象となります。 雑所得の計算シミュレーション学資保険で雑所得の対象となるケースをシミュレーションしてみましょう。■「受取総額300万円(学資年金50万円×4回+満期保険金100万円×1回)・支払済保険料総額285万円」の場合50万円−{50万円×(285万円÷300万円)}=2.5万円会社員の場合は非課税枠内なので課税対象になりませんが、自営業の方は2.5万円が他の総合課税の所得と合算されます。 学資保険で贈与税・所得税対策を講じる方法この記事を読んでいる方の中には、返戻率の高い学資保険に加入し、払い込んだ保険料より多くの学資金を受け取ることを楽しみにしている方も多いでしょう。しかし、せっかく返戻率で増えた金額を所得税や贈与税の支払いで無くなってしまっては意味がありません。この章では、所得税・贈与税が課せられないための対策をご紹介していきます。 ①受取人を契約者にする対策1つ目は、受取人を契約者にすることです。一般的には贈与税より所得税の方が課税されにくい仕組みになっているからです。学資金を所得税の対象にするため、契約者と受取人は同じにすることをおすすめします。ただし、契約者と受取人が同じ人でも実際に保険料を支払っているのが契約者でない場合は贈与税の対象とみなされる場合もあります。例えば、専業主婦の妻が契約者と受取人の場合です。この場合、収入のない妻が保険料を支払うことはできないので、税務署は夫が保険料を支払っていると判断します。その結果、夫から妻への贈与とみなすケースもあるのです。つまり学資保険では、保険料を支払っている人を契約者と受取人に設定することが重要になります。 ②年間贈与額を110万円以内に抑える対策2つ目は、年間贈与額を110万円以内に抑えることです。これは、契約者と受取人が違う場合の贈与税対策になります。贈与税には110万円の基礎控除額があるため、110万円以下の贈与は課税対象になりません。ただし、贈与に含まれるのは学資金だけではないので注意が必要です。特定の個人間で、無償で提供した財産や不動産が他にもある場合は、その金額と学資金を合算し贈与税がかかるかかからないかを計算します。 ③満期タイミングをずらす対策3つ目は、複数の学資保険に加入する場合は、満期のタイミングをずらすことです。一時所得は受取金額と払込済保険料総額の差が50万円以上ある場合に課税されます。これは、年間で計算されるため、複数の学資保険の満期時期が同じだと、50万円以上の差額が生じる可能性が高くなるためです。例えば「満期保険金額500万円・支払済保険料総額468万円(返戻率107%)」の学資保険に加入していた場合、「500万円−468万円−50万円=−18万円」で所得税の課税対象にはなりません。しかし、同じ内容の保険を2つ加入し、満期時期が同時期だった場合、差額は64万円(32万円×2)となり、ここから50万円を差し引いた14万円の2分の1が課税控除額となってしまうのです。 ④学資保険の利益を50万円以内に抑える対策4つ目は、学資保険の利益を50万円以内に抑えることです。先ほどの章でお伝えした通り、満期保険金は一時所得に分類されます。一時所得には50万円の特別控除があるので、支払った保険料と満期保険金の差額が50万円以内の場合は所得税はかかりません。マイナス金利導入以降、学資保険の返戻率は下がり110%を超える商品はほぼありません。そのため、満期保険金の設定額は500万円以下ならば所得税はかからないことになります。なぜなら、返戻率110%の学資保険で満期保険金を500万円に設定した場合、受取総額は550万円、つまり差額が50万円になるので所得税はかからないからです。もちろん、500万円より低い設定額の場合も所得税はかかりません。このように返戻率から受取総額を計算し、差額が50万円以内になるように金額を設定すると所得税の節税になります。 ⑤学資年金を受け取るプランへの加入は控える対策5つ目は、学資年金を受け取るプランへの加入は控えることです。これは特に個人事業主の方に当てはまります。学資金を年金形式で受け取る場合は、所得区分が雑所得になります。雑所得は一時所得と違い、控除がありません。そのため、所得税がかかりやすいケースが多いのです。特に自営業者の場合は注意が必要です。会社員の場合は、給与所得と退職所得以外の所得の合計金額が20万円までの場合は非課税となるため、もし雑所得があっても20万円までは課税されません。しかし、個人事業主の場合は非課税枠がないので、雑所得の金額がそのまま課税されるのです。そのため、個人事業主の方は学資保険に加入する前に、学資金の受取方法と課税される税金をしっかり確認することをおすすめします。 ⑥資産形成の専門家に相談する対策6つ目は、資産形成の専門家に相談することです。「税金」と聞くだけで難しい、と思ってしまう方は多いのではないでしょうか?仕事などで日常的に税金に関わっている人以外、税金を苦手分野と捉える方は多いと思います。資産形成の専門家は税金のプロです。特に、ファイナンシャルプランナーはお金のプロで、日常生活に関わる税金やお金のことに精通しています。オンライン相談サービスでは、ファイナンシャルプランナーをはじめ、たくさんのプロが気軽に相談にのってくれます。学資保険の加入をきっかけにプロに相談するのもおすすめの対策です。 学資保険の贈与税・所得税に関する注意ポイント贈与税や所得税は、学資金の受取時だけに課税される訳ではありません。学資金受取以外で贈与税・所得税が関係する場合の注意ポイントをご紹介します。 育英年金・養育年金の注意ポイント学資保険には、契約者に万一のことがあったときに、それ以降満期時まで毎年一定額の金額を受け取ることができる特約があります。このことを「育英年金」や「養育年金」特約と呼びます。親の万一のリスクに備えることができる良い特約ですが、加入前には育英年金を受け取る際の税金について理解しておく必要があります。まず、育英年金を受け取る際の「年金受給権」に対しては相続税がかかることを覚えておきましょう。そして、満期時がくるまでの年金受取額は所得税の雑所得の対象になります。「契約者と受取人が同じで年金形式の学資金を受け取るケース」と同じ仕組みのため、特に個人事業主の方は注意が必要です。また、育英年金の受取人を子供にした場合には更に注意が必要です。子供の年間所得が38万円を超えた場合は所得税が課税され、親の扶養から外れることになってしまうのです。実際に育英年金を受け取る状況になってから後悔することのないよう、育英年金を付加する際には充分に検討する必要があります。 解約返戻金の注意ポイント学資保険の解約返戻金を受け取った場合、満期金を受け取った場合と同じ「一時所得」に分類されます。そのため、支払った保険料と解約返戻金の差額が50万円以内の場合は、所得税はかかりません。また、保険料の支払い者と解約返戻金の受取人が違う場合は贈与税の対象になりますが、贈与額が年間110万円以内の場合は贈与税はかかりません。多くの学資保険の場合、解約返戻金は支払った保険料を下回る場合が多いので、解約返戻金に税金が課せられるケースは少ないでしょう。 学資保険と生命保険料控除生命保険料控除とは、支払った保険料のうち一定額が所得から差し引かれることにより、所得税や住民税を軽減できる制度のことです。学資保険は生命保険料控除の対象なので、申告することにより所得を軽減することが可能です。生命保険料控除を受けるには、「会社員の場合は年末調整」「自営業者の場合は確定申告」で申請をします。両者ともに必要な書類は「生命保険料控除証明書」です。これは加入している保険会社から毎年10月頃に郵送されてきます。この書類は必ず必要になるので、失くさないように気をつけましょう。万一、紛失してしまったり書類が届かない場合は、保険会社に連絡をすれば再度郵送してくれます。生命保険料控除は「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つの枠が設定されており、学資保険は「一般生命保険料控除」の枠に該当します。 所得税の控除額は下記の通りです。新制度(2012年1月1日以降契約分)年間支払い保険料控除額2万円以下支払保険料全額2万円超4万円以下(支払保険料×2分の1)+1万円4万円超8万円以下(支払保険料×4分の1)+2万円8万円超一律4万円新制度(2012年1月1日以降契約分)年間支払い保険料控除額2.5万円以下支払保険料全額2.5万円超5万円以下(支払保険料×2分の1)+1.25万円5万円超10万円以下(支払保険料×4分の1)+2.5万円10万円超一律5万円新制度と旧制度の両方に該当する保険は、合算して控除額を算出することが可能です。 教育資金の贈与と税金に関するQ&A「教育資金の一括贈与の非課税制度」はご存じですか?聞いたことはあっても詳しい内容までは知らない人も多いかもしれません。この章ではQ&A形式で、教育資金の一括贈与の非課税制度についてご紹介していきます。 ①教育資金の一括贈与は課税される?教育資金の一括贈与の非課税制度とは、直系尊属から30歳未満の人へ教育資金を贈与する際に1,500万円までは非課税になる制度のことです。受け取った側も贈与税を支払う必要がない上に、贈与した側も財産を少なくすることで相続税の節税対策にもなるのです。ちなみに、この制度は2021年3月末までの制度でしたが、2023年3月末までに期間が延長されました。 ②非課税になる教育資金は?教育資金の一括贈与の非課税制度により贈与されたお金は、教育資金に使われる場合のみ非課税になります。では、この制度で言う教育資金にはどのような内容が含まれているのでしょうか?まずは、学校に直接支払われるお金です。「学校」には、幼稚園・小・中・高等学校・大学・専門学校などが含まれます。「直接支払われるお金」には、入学金・授業料・設備利用費・修学旅行や遠足などの学校行事費用などが含まれます。また「学校に直接支払われるお金」以外に、「学校以外の人や業者へ支払われるお金」も非課税になります。ただし、この費用は1,500万円のうち500万円までが非課税の対象です。具体的には、習い事の月謝や教材費、通学のための定期代などが含まれます。かなり幅広い項目を対象にしているので、生前贈与を検討している方にはおすすめの制度です。 ③教育資金の一括贈与の注意点は?教育資金の一括贈与の非課税制度を利用する際には、いくつかの注意点が存在します。■贈与されたお金を使う際には、その都度手続きが必要非課税で贈与するためには一定の手続きを行わないとなりません。まず、贈与される側は本人名義の口座を開設します。そして、その口座経由で教育資金非課税申告書を税務署に提出しなければなりません。実際に口座からお金を引き出す際も手続きが必要です。教育資金のためにお金を使った領収書を提出し認められた後に、お金を引き出すことが可能になります。■贈与される側1人につき、1,500万円の非課税枠がある1,500万円の非課税枠があるのは贈与される側の人です。つまり、父型の祖父で教育資金の一括贈与の非課税制度を利用したら、母型の祖父から同じ制度は利用できません。父方、母方、両方の祖父から教育資金の一括贈与の非課税制度を利用したいと言われた場合、1,500万円の贈与額を分け合う必要がでてきます。■教育資金に利用しなかった贈与額には贈与税が課税される教育資金の一括贈与の非課税制度が利用できるのは30歳までです。30歳になった段階で、教育資金に利用せずに残っているお金には贈与税が課税されます。この制度は、あくまでも教育資金に利用する場合に限り、非課税にしてくれる制度です。計画的に利用しないと後から高額な贈与税を支払うことになってしまうので、注意が必要です。 ④教育資金の一括贈与をおすすめするケースは?贈与には「暦年贈与」といい年間110万円までの非課税枠の中で何年かかけて贈与していく方法もありますが、教育資金の一括贈与の非課税制度をおすすめするケースはどのような場合なのでしょうか?■相続対策を短い期間で進めたい場合暦年贈与で多額のお金を贈与するには、年数がかかります。例えば1,500万円を暦年贈与する場合、14年かかってしまうのです。また、暦年贈与をしている途中で被相続人が亡くなった場合、相続開始前3年以内の贈与は、亡くなった被相続人の財産とみなされてしまいます。そのため、暦年贈与は早い段階から始める必要があるのです。しかし、被相続人が重い病気などで急に相続対策を始めなけらばならない場合、暦年贈与では財産を減らすことができません。そのような場合は、教育資金の一括贈与の非課税制度を利用するのが有効的です。■多額の財産があり、老後資金に心配のない方教育資金の一括贈与の非課税制度は、一旦贈与した金額を取り戻すことはできません。そのため、贈与しても老後の生活に心配のない方などにおすすめします。 まとめこの記事では、学資保険に関わる税金について解説してきました。重要なポイントを再確認しておきましょう。契約者と受取人が別の人物の場合で学資金を受け取る際は、贈与税の対象になる年間110万円までの贈与には、贈与税は課税されない契約者と受取人が同一人物の場合で、満期保険金を受け取る際は一時所得になる満期保険金と払込済保険料総額が50万円以下の場合は、所得税の課税対象にならない契約者と受取人が同一人物の場合で、学資年金を受け取る場合は雑所得になる雑所得には控除枠がないので、注意が必要育英年金・養育年金は、雑所得に含まれる解約返戻金は一時所得に含まれる1,500万円までの贈与が非課税になる「教育資金の一括贈与の非課税制度」は相続対策にもおすすめ普段あまり関わらない税金に対しては苦手意識がある方も多いでしょう。しかし、税金に関する知識を把握していないと損をしてしまうこともあるのです。特に、保険に加入する際には、給付金や満期保険金と税金の関係を理解しておくと安心です。自分で調べるのが苦手な方は、一度、保険のプロに相談してみてはいかがでしょうか?本やインターネットなどの文字から得る情報と、プロが解りやすく説明してくれる情報では、理解度が全く違います。税金や社会制度の正しい知識を得ることで、損をしない保険を見つけられるでしょう。 「まずは気軽に保険のことを相談してみたい!」という方にお勧めなのが、Moneypediaのオンライン保険相談サービスです。保険のことをいつでも・どこでも・気軽に・何度でも専門家に相談することが出来ます。まずは一度、下記リンクからご相談されてみてはいかがでしょうか。Moneypediaのオンライン保険相談サービスいつでも・どこでも・気軽に・何度でも専門家に相談学資保険の税金と受取人の関係学資保険に加入する際は、「契約者・被保険者・受取人」を必ず決めなければなりません。被保険者は保険の対象となる人物のことなので、学資保険の場合は子供になります。契約者は保険契約に関しての権限を持ち保険料の支払いをする人のことで、特別な事情がない限り親がなることが多いです。受取人は学資金を受け取る対象人物のことです。 子供のための教育資金だから受取人も子供にした方がいいのでは?と思う方も多いかもしれませんが、契約者と受取人は同一人物にするのが通常です。なぜなら、契約者と受取人の関係によって、学資金を受け取る際の税金の種類が変わってくるからです。契約者と受取人が同一人物の場合は「所得税」、別人の場合は「贈与税」の対象になります。※2022年3月時点の税法をもとに執筆しておりますが、個別税務につきましては所管の税務署へご確認をお願い致します。 受取人が契約者以外だと贈与税の対象受取人が契約者以外だと「贈与税」の対象になります。贈与とは、人から人へ無償で財産を譲り渡す、という意味があります。学資保険の場合、保険料の支払いをするのは契約者なので「契約者から受取人へ無償で学資金を譲り渡す」とみなされ、贈与税の対象となるのです。 受取人が契約者だと所得税の対象受取人が契約者の場合は「所得税」の対象となります。契約者が自分で支払ったお金を基に学資金を受け取るため、自分の所得になるとみなされるためです。この場合、受け取る学資金が「満期保険金」か「年金形式の学資金」かで所得の区分が変わってきます。詳細は後ほど詳しく解説しますので、まずは、契約者と受取人の関係で税金の種類が変わることを理解しましょう。 学資保険で贈与税が課されるケース先ほど、契約者と受取人が別人の場合は贈与税の対象となることをお伝えしましたが、該当する全ての方が贈与税を支払う義務がある訳ではありません。贈与税には基礎控除があり、1年間の間に贈与した金額が110万円を超えた場合だけ、贈与税が課税されます。つまり、学資保険の場合、契約者と受取人が別人の場合でも年間受取額が110万円以下の場合は贈与税は課税されないのです。ただし、これは学資金以外の贈与がなかった場合の話です。 贈与税の基礎控除とは基礎控除とは、課税対象者の収入から無条件で差し引くことができる一定の金額のことです。贈与税の基礎控除は110万円になります。贈与に関しては、この110万円という数字は重要になるので、忘れないようにしましょう。 贈与税の算出方法贈与税は下記の計算式で算出されます。(年間贈与額−基礎控除110万円)×贈与税率−控除額贈与税を算出するには、3つのステップを確認する必要があります。まず第1ステップとして、年間贈与額が110万円を超えているか超えていないかを確認しましょう。超えていない場合は贈与税はかかりません。110万円を超えていた場合は、第2ステップで贈与区分の確認をしていきます。贈与区分は下記の2種類に分かれ、受取る人の年齢や関係性で変わります。特例贈与財産→直系尊属から20歳以上の人への贈与一般贈与財産→特例贈与財産以外の場合(直系尊属から20歳未満の人への贈与、もしくは他人や直系尊属以外の親族からの贈与など)直系尊属とは、自分より前の世代で直通する系統の親族のことです。父母・祖父母・義父母などが該当します。「直系」なので、縦のラインをイメージすると解りやすいでしょう。そのため、横のつながりになる、叔父・叔母・配偶者の父母などは含まれません。贈与区分を確認したら、第3ステップとして贈与税率と控除額の確認をします。基礎控除後の課税対象額一般贈与財産特例贈与財産贈与税率控除額贈与税率控除額200万円以下10%-10%-200万円超300万円以下15%10万円--300万円超400万円以下20%25万円15%10万円400万円超600万円以下30%65万円20%30万円600万円超1,000万円以下40%125万円30%90万円1,000万円超1,500万円以下45%175万円40%190万円1,500万円超3,000万円以下50%250万円45%265万円3,000万円超55%400万円--3,000万円超4,500万円以下--50%415万円4,500万円超--55%640万円最終ステップで、基礎控除後の課税対象額に税率を乗じ、最後に控除額を差し引いたら贈与税が算出できます。 贈与税の計算シミュレーション学資保険では祖父母から孫へ学資保険をプレゼントするケースもよくあります。そこで下記のようなケースの贈与税を計算していきましょう。ケース①「契約者が祖父・被保険者が孫・18歳満期時に500万円の満期保険金を受け取った場合」500万円−110万円=390万円390万円×20%−25万円=53万円この場合、直系尊属からの20歳未満の贈与のため、一般贈与財産の税率になります。受取人は、満期保険金受取時に53万円の贈与税が課税されます。大きな金額のため、返戻率でプラスになった分も無くなってしまう可能性があるでしょう。ケース②「契約者が祖父・被保険者が孫・18歳から年に1回100万円を合計5回受取る年金タイプの場合」100万円−110万円=−10万円同じ受取総額500万円の場合でも年金タイプの場合は贈与税はかかりません。贈与税は所得税より高額になってしまうので、基本的には契約者と受取人は同じ人物にすることをおすすめします。しかし、事情によりそれができない場合は、受取方法が年金タイプの商品を選ぶなどの方法を取り、できるだけ贈与税がかからないようにすることをおすすめします。 学資保険で所得税が課されるケース契約者と受取人が同一人物の場合は所得税の対象になることを冒頭でお伝えしましたが、所得税も全ての方が支払う義務がある訳ではありません。この章では、学資保険で所得税が課せられるケースを解説していきます。 学資保険と所得税の仕組みまずは、学資保険と所得税の仕組みを把握しましょう。契約者と受取人が同一人物の場合は所得税の対象にりますが、受取る学資金によって所得の区分が変わってきます。下記の表をご覧ください。契約形態学資金の種類税金の種類区分契約者と受取人が同一人物満期保険金所得税一時所得年金形式の学資金雑所得このように同じ学資保険でも、学資金の種類によって所得の区分が変わってきます。 満期保険金を一括で受け取るケース現在販売されている学資保険は、商品によって受取方法は様々です。この章では、満期保険金を一括で受け取る場合に所得税が課税されるケースを解説していきます。 一時所得の算出方法所得税の一時所得は下記の計算式で算出します。(満期保険金−払込済保険料総額−特別控除50万円)×2分の1まず第1ステップとして、一時所得が課税される対象かどうかの確認をしましょう。一時所得は、満期保険金が払込済保険料総額より50万円超の場合のみ課税対象になります。つまり、差額が50万円以下の場合は課税対象にならないので、現在の学資保険の返戻率を考慮すると、課税対象になるケースは少ないでしょう。もし50万円を超えた場合は第2ステップとして、課税対象額の計算をします。満期保険金と払込済総保険料額の差額の2分の1が課税対象額になります。ここで算出された金額が一時所得の課税対象金額になります。ちなみに「所得」にはいろいろな種類があり、それぞれの所得の合計金額に税率を乗じる「総合課税所得」と個別で税率を乗じる「分離課税所得」があります。総合課税の対象には「事業所得・配当所得・不動産所得・給与所得・山林所得・一時所得・雑所得」が含まれます。つまり、ここで算出された一時所得の他に総合課税の対象になる所得がある場合は、それらの所得を合算し、下記の表で確認した税率を乗じることで、所得税が算出できます。■参考:所得税の税率と控除額課税対象額所得税率控除額195万円未満5%0円195万円以上330万円未満10%9.75万円330万円以上695万円未満20%42.75万円695万円以上900万円未満23%63.6万円900万円以上1,800万円未満33%153.6万円1,800万円以上4,000万円未満40%279.6万円4,000万円以上45%479.6万円 一時所得の計算シミュレーション学資保険で一時所得の対象となるケースをシミュレーションしてみましょう。ケース①「満期保険金額300万円・支払済保険料総額285万円(返戻率105.3%)」の場合300万円−285万円−50万円=−35万円このように数値がマイナス(0円以下)の場合は所得税は課税されません。ケース②「満期保険金額800万円・支払済保険料総額733万円(返戻率109.2%)」の場合800万円−733万円−50万円=17万円17万円÷2=8.5万円上記の場合は8.5万円が課税対象額になります。 毎年祝い金を受け取るケース学資保険の受取方法には、「学資年金」と言われるような毎年お祝い金を受け取るタイプもあります。最近は大学在学時に年金形式で受け取れる商品の人気が高い傾向があり、満期保険金を一括で受け取るタイプより年金形式の方が主流になりつつあります。契約者と受取人が同一人物で、学資金を年金形式で受け取る場合は所得税の「雑所得」の対象になります。 雑所得の算出方法雑所得は下記の計算式で算出します。受取年額−{受取年額×(払込済保険料総額÷学資金受取総額)}一時所得とは異なり、特別控除はありません。そのため、算出された金額がそのまま課税対象額となります。ただし、契約者が会社員の場合は20万円までは課税されません。これは、給与所得と退職所得以外の所得の合計金額が20万円までの場合は非課税となるためです。残念ながら自営業の方は非課税枠はないため、金額そのままが課税対象となります。 雑所得の計算シミュレーション学資保険で雑所得の対象となるケースをシミュレーションしてみましょう。■「受取総額300万円(学資年金50万円×4回+満期保険金100万円×1回)・支払済保険料総額285万円」の場合50万円−{50万円×(285万円÷300万円)}=2.5万円会社員の場合は非課税枠内なので課税対象になりませんが、自営業の方は2.5万円が他の総合課税の所得と合算されます。 学資保険で贈与税・所得税対策を講じる方法この記事を読んでいる方の中には、返戻率の高い学資保険に加入し、払い込んだ保険料より多くの学資金を受け取ることを楽しみにしている方も多いでしょう。しかし、せっかく返戻率で増えた金額を所得税や贈与税の支払いで無くなってしまっては意味がありません。この章では、所得税・贈与税が課せられないための対策をご紹介していきます。 ①受取人を契約者にする対策1つ目は、受取人を契約者にすることです。一般的には贈与税より所得税の方が課税されにくい仕組みになっているからです。学資金を所得税の対象にするため、契約者と受取人は同じにすることをおすすめします。ただし、契約者と受取人が同じ人でも実際に保険料を支払っているのが契約者でない場合は贈与税の対象とみなされる場合もあります。例えば、専業主婦の妻が契約者と受取人の場合です。この場合、収入のない妻が保険料を支払うことはできないので、税務署は夫が保険料を支払っていると判断します。その結果、夫から妻への贈与とみなすケースもあるのです。つまり学資保険では、保険料を支払っている人を契約者と受取人に設定することが重要になります。 ②年間贈与額を110万円以内に抑える対策2つ目は、年間贈与額を110万円以内に抑えることです。これは、契約者と受取人が違う場合の贈与税対策になります。贈与税には110万円の基礎控除額があるため、110万円以下の贈与は課税対象になりません。ただし、贈与に含まれるのは学資金だけではないので注意が必要です。特定の個人間で、無償で提供した財産や不動産が他にもある場合は、その金額と学資金を合算し贈与税がかかるかかからないかを計算します。 ③満期タイミングをずらす対策3つ目は、複数の学資保険に加入する場合は、満期のタイミングをずらすことです。一時所得は受取金額と払込済保険料総額の差が50万円以上ある場合に課税されます。これは、年間で計算されるため、複数の学資保険の満期時期が同じだと、50万円以上の差額が生じる可能性が高くなるためです。例えば「満期保険金額500万円・支払済保険料総額468万円(返戻率107%)」の学資保険に加入していた場合、「500万円−468万円−50万円=−18万円」で所得税の課税対象にはなりません。しかし、同じ内容の保険を2つ加入し、満期時期が同時期だった場合、差額は64万円(32万円×2)となり、ここから50万円を差し引いた14万円の2分の1が課税控除額となってしまうのです。 ④学資保険の利益を50万円以内に抑える対策4つ目は、学資保険の利益を50万円以内に抑えることです。先ほどの章でお伝えした通り、満期保険金は一時所得に分類されます。一時所得には50万円の特別控除があるので、支払った保険料と満期保険金の差額が50万円以内の場合は所得税はかかりません。マイナス金利導入以降、学資保険の返戻率は下がり110%を超える商品はほぼありません。そのため、満期保険金の設定額は500万円以下ならば所得税はかからないことになります。なぜなら、返戻率110%の学資保険で満期保険金を500万円に設定した場合、受取総額は550万円、つまり差額が50万円になるので所得税はかからないからです。もちろん、500万円より低い設定額の場合も所得税はかかりません。このように返戻率から受取総額を計算し、差額が50万円以内になるように金額を設定すると所得税の節税になります。 ⑤学資年金を受け取るプランへの加入は控える対策5つ目は、学資年金を受け取るプランへの加入は控えることです。これは特に個人事業主の方に当てはまります。学資金を年金形式で受け取る場合は、所得区分が雑所得になります。雑所得は一時所得と違い、控除がありません。そのため、所得税がかかりやすいケースが多いのです。特に自営業者の場合は注意が必要です。会社員の場合は、給与所得と退職所得以外の所得の合計金額が20万円までの場合は非課税となるため、もし雑所得があっても20万円までは課税されません。しかし、個人事業主の場合は非課税枠がないので、雑所得の金額がそのまま課税されるのです。そのため、個人事業主の方は学資保険に加入する前に、学資金の受取方法と課税される税金をしっかり確認することをおすすめします。 ⑥資産形成の専門家に相談する対策6つ目は、資産形成の専門家に相談することです。「税金」と聞くだけで難しい、と思ってしまう方は多いのではないでしょうか?仕事などで日常的に税金に関わっている人以外、税金を苦手分野と捉える方は多いと思います。資産形成の専門家は税金のプロです。特に、ファイナンシャルプランナーはお金のプロで、日常生活に関わる税金やお金のことに精通しています。オンライン相談サービスでは、ファイナンシャルプランナーをはじめ、たくさんのプロが気軽に相談にのってくれます。学資保険の加入をきっかけにプロに相談するのもおすすめの対策です。 学資保険の贈与税・所得税に関する注意ポイント贈与税や所得税は、学資金の受取時だけに課税される訳ではありません。学資金受取以外で贈与税・所得税が関係する場合の注意ポイントをご紹介します。 育英年金・養育年金の注意ポイント学資保険には、契約者に万一のことがあったときに、それ以降満期時まで毎年一定額の金額を受け取ることができる特約があります。このことを「育英年金」や「養育年金」特約と呼びます。親の万一のリスクに備えることができる良い特約ですが、加入前には育英年金を受け取る際の税金について理解しておく必要があります。まず、育英年金を受け取る際の「年金受給権」に対しては相続税がかかることを覚えておきましょう。そして、満期時がくるまでの年金受取額は所得税の雑所得の対象になります。「契約者と受取人が同じで年金形式の学資金を受け取るケース」と同じ仕組みのため、特に個人事業主の方は注意が必要です。また、育英年金の受取人を子供にした場合には更に注意が必要です。子供の年間所得が38万円を超えた場合は所得税が課税され、親の扶養から外れることになってしまうのです。実際に育英年金を受け取る状況になってから後悔することのないよう、育英年金を付加する際には充分に検討する必要があります。 解約返戻金の注意ポイント学資保険の解約返戻金を受け取った場合、満期金を受け取った場合と同じ「一時所得」に分類されます。そのため、支払った保険料と解約返戻金の差額が50万円以内の場合は、所得税はかかりません。また、保険料の支払い者と解約返戻金の受取人が違う場合は贈与税の対象になりますが、贈与額が年間110万円以内の場合は贈与税はかかりません。多くの学資保険の場合、解約返戻金は支払った保険料を下回る場合が多いので、解約返戻金に税金が課せられるケースは少ないでしょう。 学資保険と生命保険料控除生命保険料控除とは、支払った保険料のうち一定額が所得から差し引かれることにより、所得税や住民税を軽減できる制度のことです。学資保険は生命保険料控除の対象なので、申告することにより所得を軽減することが可能です。生命保険料控除を受けるには、「会社員の場合は年末調整」「自営業者の場合は確定申告」で申請をします。両者ともに必要な書類は「生命保険料控除証明書」です。これは加入している保険会社から毎年10月頃に郵送されてきます。この書類は必ず必要になるので、失くさないように気をつけましょう。万一、紛失してしまったり書類が届かない場合は、保険会社に連絡をすれば再度郵送してくれます。生命保険料控除は「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つの枠が設定されており、学資保険は「一般生命保険料控除」の枠に該当します。 所得税の控除額は下記の通りです。新制度(2012年1月1日以降契約分)年間支払い保険料控除額2万円以下支払保険料全額2万円超4万円以下(支払保険料×2分の1)+1万円4万円超8万円以下(支払保険料×4分の1)+2万円8万円超一律4万円新制度(2012年1月1日以降契約分)年間支払い保険料控除額2.5万円以下支払保険料全額2.5万円超5万円以下(支払保険料×2分の1)+1.25万円5万円超10万円以下(支払保険料×4分の1)+2.5万円10万円超一律5万円新制度と旧制度の両方に該当する保険は、合算して控除額を算出することが可能です。 教育資金の贈与と税金に関するQ&A「教育資金の一括贈与の非課税制度」はご存じですか?聞いたことはあっても詳しい内容までは知らない人も多いかもしれません。この章ではQ&A形式で、教育資金の一括贈与の非課税制度についてご紹介していきます。 ①教育資金の一括贈与は課税される?教育資金の一括贈与の非課税制度とは、直系尊属から30歳未満の人へ教育資金を贈与する際に1,500万円までは非課税になる制度のことです。受け取った側も贈与税を支払う必要がない上に、贈与した側も財産を少なくすることで相続税の節税対策にもなるのです。ちなみに、この制度は2021年3月末までの制度でしたが、2023年3月末までに期間が延長されました。 ②非課税になる教育資金は?教育資金の一括贈与の非課税制度により贈与されたお金は、教育資金に使われる場合のみ非課税になります。では、この制度で言う教育資金にはどのような内容が含まれているのでしょうか?まずは、学校に直接支払われるお金です。「学校」には、幼稚園・小・中・高等学校・大学・専門学校などが含まれます。「直接支払われるお金」には、入学金・授業料・設備利用費・修学旅行や遠足などの学校行事費用などが含まれます。また「学校に直接支払われるお金」以外に、「学校以外の人や業者へ支払われるお金」も非課税になります。ただし、この費用は1,500万円のうち500万円までが非課税の対象です。具体的には、習い事の月謝や教材費、通学のための定期代などが含まれます。かなり幅広い項目を対象にしているので、生前贈与を検討している方にはおすすめの制度です。 ③教育資金の一括贈与の注意点は?教育資金の一括贈与の非課税制度を利用する際には、いくつかの注意点が存在します。■贈与されたお金を使う際には、その都度手続きが必要非課税で贈与するためには一定の手続きを行わないとなりません。まず、贈与される側は本人名義の口座を開設します。そして、その口座経由で教育資金非課税申告書を税務署に提出しなければなりません。実際に口座からお金を引き出す際も手続きが必要です。教育資金のためにお金を使った領収書を提出し認められた後に、お金を引き出すことが可能になります。■贈与される側1人につき、1,500万円の非課税枠がある1,500万円の非課税枠があるのは贈与される側の人です。つまり、父型の祖父で教育資金の一括贈与の非課税制度を利用したら、母型の祖父から同じ制度は利用できません。父方、母方、両方の祖父から教育資金の一括贈与の非課税制度を利用したいと言われた場合、1,500万円の贈与額を分け合う必要がでてきます。■教育資金に利用しなかった贈与額には贈与税が課税される教育資金の一括贈与の非課税制度が利用できるのは30歳までです。30歳になった段階で、教育資金に利用せずに残っているお金には贈与税が課税されます。この制度は、あくまでも教育資金に利用する場合に限り、非課税にしてくれる制度です。計画的に利用しないと後から高額な贈与税を支払うことになってしまうので、注意が必要です。 ④教育資金の一括贈与をおすすめするケースは?贈与には「暦年贈与」といい年間110万円までの非課税枠の中で何年かかけて贈与していく方法もありますが、教育資金の一括贈与の非課税制度をおすすめするケースはどのような場合なのでしょうか?■相続対策を短い期間で進めたい場合暦年贈与で多額のお金を贈与するには、年数がかかります。例えば1,500万円を暦年贈与する場合、14年かかってしまうのです。また、暦年贈与をしている途中で被相続人が亡くなった場合、相続開始前3年以内の贈与は、亡くなった被相続人の財産とみなされてしまいます。そのため、暦年贈与は早い段階から始める必要があるのです。しかし、被相続人が重い病気などで急に相続対策を始めなけらばならない場合、暦年贈与では財産を減らすことができません。そのような場合は、教育資金の一括贈与の非課税制度を利用するのが有効的です。■多額の財産があり、老後資金に心配のない方教育資金の一括贈与の非課税制度は、一旦贈与した金額を取り戻すことはできません。そのため、贈与しても老後の生活に心配のない方などにおすすめします。 まとめこの記事では、学資保険に関わる税金について解説してきました。重要なポイントを再確認しておきましょう。契約者と受取人が別の人物の場合で学資金を受け取る際は、贈与税の対象になる年間110万円までの贈与には、贈与税は課税されない契約者と受取人が同一人物の場合で、満期保険金を受け取る際は一時所得になる満期保険金と払込済保険料総額が50万円以下の場合は、所得税の課税対象にならない契約者と受取人が同一人物の場合で、学資年金を受け取る場合は雑所得になる雑所得には控除枠がないので、注意が必要育英年金・養育年金は、雑所得に含まれる解約返戻金は一時所得に含まれる1,500万円までの贈与が非課税になる「教育資金の一括贈与の非課税制度」は相続対策にもおすすめ普段あまり関わらない税金に対しては苦手意識がある方も多いでしょう。しかし、税金に関する知識を把握していないと損をしてしまうこともあるのです。特に、保険に加入する際には、給付金や満期保険金と税金の関係を理解しておくと安心です。自分で調べるのが苦手な方は、一度、保険のプロに相談してみてはいかがでしょうか?本やインターネットなどの文字から得る情報と、プロが解りやすく説明してくれる情報では、理解度が全く違います。税金や社会制度の正しい知識を得ることで、損をしない保険を見つけられるでしょう。 「まずは気軽に保険のことを相談してみたい!」という方にお勧めなのが、Moneypediaのオンライン保険相談サービスです。保険のことをいつでも・どこでも・気軽に・何度でも専門家に相談することが出来ます。まずは一度、下記リンクからご相談されてみてはいかがでしょうか。Moneypediaのオンライン保険相談サービスいつでも・どこでも・気軽に・何度でも専門家に相談