老後の備えの一つ「個人年金保険」とは?現在、2,000万、4000万問題や、長生きリスク、少子高齢化など、老後の貯蓄に対する不安が大きくなってきています。実際に「少子高齢化も進んでいるし、将来の年金大丈夫かな?」「医療も発展し、寿命も延びてきているけど、その分の生活費等は大丈夫かしら?」などご相談される方もかなり増えてきています。そこで今回は、老後の備えのうちの一つ、「個人年金保険」について、解説していきます。 老後の必要資金そもそも老後にいくら必要なの?というご質問が多く寄せられます。では皆さんが老後の為にいくら準備しなければいけないかを一緒に考えていきましょう。まず、老後の夫婦二人の生活費ですが、一般的なゆとりのある夫婦二人の生活費は35万円と言われております。それに対して見込める収入は、老齢年金と退職金です。 老齢年金について現在の平均受給額は、22.2万円/月となっています。しかし、20年後には15万円/月となる予想が出ています。第一号被保険者の方(個人事業主等)は6万円程になるとの予想も存在します。 退職金について現在の大卒の平均受給額が1,997万円といわれておりますが、20年前は3,203万円ありました。つまり、20年間で約1,200万円も減少しています。では20年後はどうなってしまうのでしょうか。仮に今の2/3程度だと仮定します。また、20年に5歳ずつ平均寿命も延びてきているので、65歳で定年し、仮に二人とも90歳まで生きるとすると必要額 35万×12か月×25年=1億500万円受給額 15万×12か月×25年=4,500万円1,997×2/3=1,331万不足額 1億500万-(4,500万+1,331万)≒4,700万 個人差も大きいですが、一般的な例でみると約4,700万円を自分たちで準備しなければならないということです。これは現役世代の方々にはとても深刻な問題です。そのため現在ではiDeCoつみたてNISA外貨建て保険など老後の生活費に備える制度や商品がたくさん出てきております。今回はそのうちの「個人年金保険」について解説していきたいと思います。個人年金保険とは?まず「個人年金保険」とはどんなものなのでしょうか?個人的に将来への積み立てをしていき、60歳や65歳になった時に、年金のように少しずつ受け取っていくことができるものです。つまり、自助努力によって将来の年金の補完をしておこうという事です。若いうちから準備しておくと、資産運用の効果や、節税効果など、様々な恩恵も受けられます。それでは、メリットとデメリットを解説していきます。 個人年金保険のメリット確実に積み立てられる個人年金に限らずですが、まず挙げられるメリットとしては、計画的に老後資金を準備できる、という点です。上記にあったように、将来3,000万~5,000万円ほどご自身で準備しなければいけません。ただ、例えば「子供が独立してから準備しよう。」という考えだと、独立してから定年まで、およそ10年間で準備しなければならないので、年間300万~500万円ほど貯金しなければいけません。これはかなり大変ですよね。準備しなければいけない金額が大きいが故、じっくりと時間をかけて準備していく必要があります。つまり、個人年金保険に限らず毎月少しずつ拠出していく金融商品はかなり有効と言えます。節税が出来る個人年金保険に加入する一番のメリットと言っても過言ではないのが「生命保険料控除」です。生命保険に加入している人が、年間に支払った保険料の一部を所得額から控除することができる仕組みで、簡単にできる節税を行える制度です。現在の日本では一般生命保険料控除介護医療保険料控除個人年金保険料控除と3種類の控除枠があり、各最大4万円まで所得を控除することができます。つまり3種類すべて使えば、12万円を所得額から控除することができます。ただ、現在の日本では「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」は高い割合で使用されているのですが、「個人年金保険料控除」の使用率は20%を下回っています。この3種類をしっかり活用すれば、所得税の還付が見込めるので、下手な運用よりはよっぽど確実かつ効果が大きいですね。 体調に不安があっても大丈夫一般的な保険は加入時に健康告知が必要です。健康告知とは、加入時の健康状態を保険会社に申告することです。なので、過去に病気をしてしまっていたり、現在薬を服用中等、健康状態に懸念がある人には加入できない商品もあります。ところが個人年金保険は、亡くなった時に受け取れる金額が払った保険料と同等程度なので、健康状態に懸念がある方でも加入できるものがほとんどです。「積立型の保険に入りたかったけど、去年の健康診断で引っかかっちゃったんだよなぁ。」なんて諦めかけていた方は、個人年金保険を検討してみてもいいかもしれませんね。 個人年金保険のデメリット基本的に老後まで置いておかなければならない保険の商品は全般的にそうですが、短期間で解約をしてしまうと支払額より少ない金額しか受け取れないケースがほとんどです。保険には、支払いが厳しくなったら止める仕組み等もあるので、完全に手が打てない訳ではありません。あくまで老後の為に無理なく続けられる金額で加入することをお勧めします。 死亡保障が少ない個人年金保険は、生命保険の商品の一部ではありますが、万が一死亡してしまった時の保障は少なくなっています。基本的には、支払った金額と同じ金額の死亡保険金しか受け取れません。なので、個人年金保険のみでは家族の生活補償にはならないので、加入を検討されている方は、死亡保障がしっかりとついている生命保険と組み合わせて検討する事が重要でしょう。外貨建て保険とは?「個人年金保険」の中でも今、外貨で積み立てをする人が増えています。保険料の支払いや保険金の支払いを外国の通貨(外貨)で行う保険を「外貨建て保険」と言います。預けた保険料を、保険会社が外貨に換金し、外国の債権等で運用します。保険金の支払事由が発生したり、解約の請求があった場合は、保険会社が日本円に戻し、受取人へと支払うといった流れになります。では一体なぜ外貨で預ける人が増えているのか、こちらもメリットとデメリットを比較してみましょう。 外貨建て保険のメリット運用効果が期待できる個人年金は老後のために加入するのがほとんどなので、若いうちに加入すれば30年~40年ほど運用することが可能です。そして、外貨は日本の金利よりも高い利回りで保有することが可能です。外貨だと為替の影響もあるので、短期的な売買では大きな損失が出るのでは?と懸念をされております。しかし長期的に置いておける資産では、利率が時間をかけてしっかり積み上がり、為替の動きの幅を考慮しても安定的に運用することが可能です。 ドルコスト平均法「ドルコスト平均法」という効率的な運用手法も使えます。これは、動きのある金融商品を定期的に同じ金額ずつ購入することで、価格が高いときは少量、価格が安いときは大量に購入することができるので、平均購入単価が下がり、より高リターンを期待できる運用手法です。外貨建ての個人年金は、毎月の支払額は円で固定されているので、「ドルコスト平均法」が適用され価格変動リスクを軽減する事ができます。 インフレリスクへの対応今後の物価上昇リスクへの備えにもなります。例えばこれからも低金利が続き、物価が上昇した場合、現在持っている皆さんの円預金は、金額は変わらないのに対し、価値は物価に対して相対的に減少してしまいます。これをインフレリスクと呼びます。 なので、日本円と相対的な動きをする外貨や物(不動産等)で資産を保有していくことで、物価上昇にも強い資産形成をすることができます。長期の資産形成を考える場合、インフレ対策も重要な判断材料となります。 外貨建て保険のデメリット為替リスク 外貨建て商品の一番のデメリットが為替リスクです。保険料や、受取金額が外貨のため、その時の為替レートにより増減します。円高(外貨安)になれば、支払額は安くて済みますが、受取金額も下がってしまいます。一方で、円安(外貨高)になれば、支払金額は上がってきましますが、受取金額も上がります。一般的に為替の動きはコントロールできないものなので、解約等をする場合はその時の為替をよく確認する必要もあるでしょう。 運用効率他の運用商品を見てみると、株を含んだ商品や、より強い節税効果のあるものも存在します。なので、たくさんリスクを取りながら増やしたい方にはあまり向いていません。あくまで安定運用をして、より確実に老後の資産を準備する目的で始めるのがいいでしょう。 まとめ結局個人年金保険はやった方がいいか悪いかという質問に対しては、「分かりません。」というのが回答になります。 金融商品全般に言えることですが、「これはいらない!」「やらない方がいい!」や「これが一番!」「これさえあれば大丈夫!」などというものは存在しません。各商品や仕組みに必ず、メリット、デメリットが存在します。今の自分の資産状況や将来の人生計画に合ったものを選択し、自分に合ったポートフォリオ(資産配分)を作ることが最も大切です。最近SNSやYouTube等で、様々な投稿が増えてきており、何を信じていいか分からない世の中になってきています。 最も大切なのは、責任のない言葉に振り回されず、自分に最適なものを適量保有するということです。ただ、それを自分で見つけるのは相当骨が折れると思います。なので、信頼できるパートナーをなるべく早く見つけ、相談をすることが必要となってくるでしょう。 「まずは気軽にお金のことを相談してみたい!」という方にお勧めなのが、MoneypediaのオンラインFP相談サービスです。保険やライフプランをはじめとするお金のことをいつでも・どこでも・気軽に・何度でも専門家に相談することが出来ます。まずは一度、ご相談されてみてはいかがでしょうか。