結論:生命保険契約者保護機構があるから安心!生命保険契約者保護機構について生命保険契約者保護機構とは、1998年に保険業法に基づいて設立された法人であり、国内で事業を営むすべての生命保険会社が会員として機構に加入しています。設立の目的は、生命保険会社が保険契約者を保護するための相互援助制度であり、万が一生命保険会社が破綻した場合でも契約移転などの様々な対応を援助しています。参照:生命保険契約者保護機構HP保険会社が破綻した際の3つの対応では実際に破綻してしまった場合、どのような対応がとられるのでしょうか?対応としては下記の3つのケースに分かれます。①救済保険会社に契約が引き継がれる破綻した生命保険会社の保険契約等を引き継いでくれる「救済保険会社」が現れた場合には、破綻会社→救済会社へと保険契約が移転されます。保護機構は必要に応じて資金援助を行います。実態としてはこの対応が最も多くとられてきました。②救済会社が現れず、承継保険会社に引き継がれるもし救済会社が現れなかった場合は、保護機構の子会社として承継保険会社を設立します。その承継保険会社へと保険契約等は移転し、通常の保険会社運営業務に加えて引き続き救済保険会社を探すなど、保護機構は援助を行います。③救済会社が現れず、契約者保護機構に引き継がれる承継保険会社を設立するのではなく、生命保険契約者保護機構そのものが保険契約を引き受けることも可能です。 保険会社が破綻した場合の注意点は?保障内容等が削減されるかもしれない保険会社が破綻して移転対象となった保険契約の内容については、破綻時点の責任準備金の90%まで補償されることが保険業法等で定められています。加えて、契約移転の際には責任準備金等の減額に加えて、保険契約を引き続き安全に継続させるために、保険契約の算定基礎となる予定利率や予定死亡率、予定事業費率などの変更が行われる可能性もあり、結果として保険金額が削減される可能性もあります。つまり、お客様に対して高利率や安すぎる保険料など、無理な商品設計を提供していた場合には是正される可能性があるということですね。責任準備金とは将来お客様に対して、保険金や給付金、年金などをお支払いする為に、お客様からの保険料の中から積み立てられるものが責任準備金です。 過去の破綻事例を紹介今までに破綻した生命保険会社は8社あります。それぞれ確認していきましょう!破綻した生命保険会社破綻した年現在の引継ぎ保険会社日産生命1997年プルデンシャル生命東邦生命1999年ジブラルタ生命千代田生命2000年ジブラルタ生命第百生命2000年マニュライフ生命協栄生命2000年ジブラルタ生命大正生命2000年PGF生命東京生命2001年T&Dファイナンシャル生命大和生命2008年PGF生命このように見てみると、外資系の会社は一つもなく全て日本の会社が破綻しています。そして引き継いだ保険会社を見てみると外資系、特にプルデンシャルグループの保険会社が目立ちますね。破綻してしまった理由は?逆ザヤ現象と言われるものが理由であり、保険金を加入者に支払う財務体力が尽きてしまったということが挙げられます。国債の金利が高かったころ保険会社は大きな運用益をあげることができ、加入者に対して保険料の2倍から3倍の保険金を届けることができていました。ただ、株価や債券の金利が低下しはじめてから保険会社の運用益も低下してしまい、結果として加入者に対してそれまでの利率で保険金を届けることが難しくなっていきました。運用益に対してそれ以上の保険金を加入者に対して払い続けていたところ、支払う体力がなくなり破綻しました。破綻しそうな保険会社を見極めるためには?ソルベンシー・マージン比率を確認しよう!ひとつの目安として、ソルベンシー・マージン比率が200%を超えていることが健全な保険会社か見極めるための基準となっています。他社と比較して明らかに数値が低かったりする保険会社は注意が必要でしょう。ソルベンシー・マージン比率とは?ソルベンシー・マージン比率とは、保険会社の健全性を表す指標となっています。保険業法で必ず定められており、保険会社の支払い余力が分かる数値となっています代表的な保険会社のソルベンシー・マージン比率本項目では2020年度の決算を参考に、トップとワーストの保険会社を見てみましょう。順位保険会社名ソルベンシーマージン比率トップ1位!はなさく生命13,742%ワースト2位ニッセイ・ウェルス生命687%ワースト1位第一フロンティア生命539% このように、はなさく生命と第一フロンティア生命とでは約25倍もの差が生じています。しかし、これらの3社はそれぞれ日本生命や第一生命などの巨大保険会社の子会社として設立された保険会社であり、親会社の財務状況の変化の影響を顕著に受けやすいことも特徴のひとつです。第一フロンティア生命は前年の483,0%からおよそ50%上昇していたり、逆に下降したりと変動するものなので一つの指標として見ておきましょう。まとめここまで生命保険契約者保護機構やソルベンシー・マージン比率の話をしてきましたが、もし保険会社が破綻してしまっても、普段の生活に影響が出ないような金額で保険に加入することがなによりも大切だと感じます。資産形成の基本は長期・積立・分散です。保険だけに頼りすぎた資産形成を行うことなく、専門家などと相談をしながらご自身の最適な資産配分を考えることがなによりも重要です。