学資保険は年末調整/確定申告で生命保険料控除される!毎年行っている年末調整や確定申告ですが、仕組みをご存じですか?これらは、払い過ぎた税金が戻ってくる可能性のある、嬉しい制度でもあります。毎月支払っている学資保険料を申告することで、保険料の一部を所得から控除してもらえるのです。ここでは、学資保険を中心とした生命保険料控除についてご紹介していきます。 学資保険とは学資保険とは、子供の教育資金を準備するための貯蓄タイプの保険のことです。子供が何歳のときにいくら準備したいかを設定し、払込期間や毎月の保険料を決めていきます。多くの学資保険は高校卒業時にまとまった金額を受け取れるように設定してあり、大学や専門学校入学時の費用負担を軽減できるようになっています。 生命保険料控除とは生命保険料控除とは、加入している生命保険の年間の支払い保険料に応じて、年間所得から一定の金額が控除される制度のことです。この制度により、所得税と住民税を少なくすることができるため、節税対策になるのです。では、学資保険も控除の対象になるのでしょうか?下記の表で確認してみましょう。生命保険料の控除枠は下記の3つに分類されます。一般生命保険料控除学資保険・養老保険・死亡保険(定期保険や終身保険など)介護医療保険料控除医療保険・がん保険・介護保険など個人年金保険料控除税制適格特約が付加されている個人年金保険学資保険は、一般生命保険料控除の対象になるので、学資保険に加入している方は所得税や住民税を減らすことができます。ただし、控除を受けるには自分で申告をしなければなりません。会社員の方は年末調整で、個人事業主の方は確定申告で、申告をしましょう。申告方法や控除額については後ほど詳しく説明していきます。 学資保険が年末調整/確定申告で控除対象となる理由学資保険は「積立」というイメージが強いため、保険に加入している意識をもっている方が少ないかもしれません。しかし、学資保険には、契約者に万一のことがあったときに保険料の払込が免除になる特約があり、生命保険の意味合いもあるのです。そのため、他の生命保険と同様に控除対象になっているのです。元々、生命保険料控除は、「国が補いきれない保障を個人で補ってもらうかわりに、所得から一部を控除する」という意味合いがあるため、学資保険も同様に控除が受けられるということになるのです。 学資保険は年末調整/確定申告でいくら控除される?では、気になる控除額のお話をしていきましょう。実際に所得から控除される金額は、年間支払保険料によって変わってきます。所得税・住民税それぞれについて詳しくご紹介してきます。 所得税における学資保険の控除額はいくら?控除額を調べる際に、先に知っておきたいことがあります。それは、新制度と旧制度の2つがあるということです。2012年1月1日以降に保険契約を締結したものは新制度、2011年12月31日以前に保険契約を締結したものは旧制度になります。ただし、長期に渡って加入していて、新制度と旧制度の両方に該当する保険は、控除額が大きい方、もしくは、新制度と旧制度の控除額を合算して適用することができます。制度による控除枠や控除額の違いを理解し、損をしないよう、しっかり確認してみましょう。 新制度(2012年1月1日以降)の学資保険の控除額新制度の学資保険の控除額は下記の通りです。年間支払保険料控除額20,000円以下年間支払保険料全額20,001円~40,000円(年間支払保険料×0.5)+10,000円40,001円~80,000円(年間支払保険料×0.25)+20,000円80,001円以上一律40,000円上記の内容は一般生命保険料控除だけでなく、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除にも共通している内容になります。そのため、所得税の控除限度額は4万円×3=12万円になります。 旧制度(2011年12月31日以前)の学資保険の控除額旧制度も確認してみましょう。年間支払保険料控除額25,000円以下年間支払保険料全額25,001円~50,000円(年間支払保険料×0.5)+12,500円50,001円~100,000円(年間支払保険料×0.25)+25,000円100,001円以上一律50,000円一見、旧制度の方が控除額が大きいと感じますが、旧制度には、介護医療保険料控除がありません。そのため、旧制度の所得税の控除限度額は5万円×2=10万円になります。新制度と旧制度の両方に該当する方は、それぞれの控除額を計算し、合算、もしくは額の大きい方を申告することができます。 住民税における学資保険の控除額はいくら?住民税における控除額も所得税と同様に、新制度と旧制度により控除額が変わってきます。新制度(2012年1月1日以降)の学資保険の控除額 新制度の学資保険の控除額は下記の通りです。年間支払保険料控除額12,000円以下年間支払保険料全額12,001円~32,000円(年間支払保険料×0.5)+6,000円32,001円~56,000円(年間支払保険料×0.25)+14,000円56,001円以上一律28,000円1つ注意が必要なのは、一般・介護医療・個人年金の3つの枠全てで、年間56,001円以上の保険料を支払っている場合です。この場合の限度額は7万円になります。28000円×3=84000円にはならないので、注意が必要です。 旧制度(2011年12月31日以前)の学資保険の控除額同様に旧制度も確認してみましょう。年間支払保険料控除額15,000円以下年間支払保険料全額15,001円~40,000円(年間支払保険料×0.5)+7,500円40,001円~70,000円(年間支払保険料×0.25)+17,500円70,001円以上一律35,000円旧制度は、所得税と同様に、一般と個人年金の2つの枠なので、旧制度における住民税の控除限度額は、35,000円×2=70,000円になります。 学資保険の生命保険料控除額の計算例それでは、実際に生命保険料控除の金額を計算してみましょう。まずは、下記のモデルケースで所得税の新制度・旧制度別の控除額を算出します。制度控除枠年間支払保険料計算式控除額新一般71,000円71,000×0.25+20,00037,750円新介護医療112,000円-40,000円旧一般43,000円43,000×0.5+12,50034,000円旧年金120,000円-50,000円上記のうち、一般生命保険料控除枠は新・旧制度の両方あるため、37,750円と34,000円を合算し(上限40,000円)、旧制度の控除額と比べ大きい金額が適用されます。この場合は40,000円>34,000円なので、一般生命保険料控除額は40,000円となります。全てを合計すると、一般40,000円・介護医療40,000円・年金50,000円で130,000円になりますが、所得税の控除限度額は120,000円までのため、120,000円になります。同様に住民税を計算すると、一般28,250円・介護医療28,000円・年金35,000円で91,500円になりますが、住民税の控除限度額は70,000円までのため、70,000円になります。そして実際にいくら戻ってくるのか、還付される金額が気になるところです。所得税は課税所得金額によって5%~45%と税率が変わってきます。仮に10%と仮定しましょう。住民税は一律で10%です。これを上記のケースに当てはめて計算すると所得税:120,000円×10%=12,000円住民税:70,000円×10%=7,000円となり、合計で19,000円の還付が受けられることになります。申告するだけでこれだけの金額が戻ってくるのは嬉しいものです。 年末調整/確定申告で学資保険の控除を申請する方法控除される金額が把握できたところで、申告の方法を確認していきましょう。会社員の方は年末調整で、個人事業主の方は確定申告で申告することになります。 年末調整/確定申告では生命保険料控除証明書が必要年末調整、確定申告共に必要になる書類が「生命保険料控除証明書」です。加入している保険会社からハガキや書類で毎年10月頃に送られてくるので、なくさないように注意しましょう。万一、紛失してしまった場合は再発行が可能なので、早目に保険会社に連絡する必要があります。生命保険料控除証明書には、加入している保険の名称や受取人、年間支払保険料などが記載されているので、その情報を元に、申告書を記入していきます。 年末調整で学資保険の控除を申請する方法年末調整で学資保険の控除を申請する方法は、必要事項を記入した「給与所得者の保険料控除申告書」と「生命保険料控除証明書」の原本を勤務先に提出すれば完了です。 保険料控除申告書の書き方普段あまり見ない書類の書き方は戸惑う方が多くいます。ここでは、給与所得者の保険料控除申告書の書き方をご紹介していきます。①には、申告する人の氏名・住所等を記入する②は一般生命保険料控除の記入欄なので「保険会社名・保険の種類・保険期間・契約者・受取人・続柄・新旧どちらかの制度に〇・年間支払保険料額」を順に記入するAには新制度の控除額、Bには旧制度の控除額を記入する(どちらかしかない場合は該当箇所のみ記入)CにはAとBの合計金額(上限は4万円)を記入するDにはBとCの大きい金額の方を記入する(Dが一般生命保険料控除額になる)同様に、③の介護医療保険料控除の欄と、④の個人年金保険料控除の欄も記入する最後に3つの合計金額を⑤に記入する(上限12万円)一見、難しく思いがちですが、生命保険料の控除額の計算方法がわかれば記入は難しくありません。申告できるのは保険料を支払っている人になるので、妻が契約者の保険でも夫が支払いをしていれば、夫の会社の年末調整で申告が可能です。 確定申告で学資保険の控除を申請する方法個人事業主の方が学資保険の控除を申告するには、確定申告の際に必要事項を記入し、生命保険料控除証明書を添付する必要があります。確定申告に使う用紙は所得の内容によって変わってきますが、主に第1表で生命保険料控除の合計金額を記入し、第2表に年間支払保険料額を記入します。そんなに複雑ではないので、生命保険料控除証明書を見ながら記入すれば、問題はないでしょう。 控除申請を忘れてしまったときの対処法うっかり控除申告を忘れて書類を提出してしまった場合でも、諦める必要はありません。対処法をご紹介します。会社員の方が年末調整で申告を忘れてしまった場合は、自分で確定申告をすることにより、控除を受けることが可能です。自分で手続きするのは少し面倒ではありますが、せっかく手軽にできる節税対策なので、しっかり行うことをおすすめします。確定申告の時期は翌年の2月16日~3月15日です。この間に、管轄の税務署で確定申告を行います。現在は、用紙を持参もしくは郵送の他に、インターネットでも確定申告が可能になっています。また、今後、時間が経過してから申告漏れに気がつくこともあるかもしれません。そのようなときのために、翌年から5年間以内なら還付申請も可能になっています。 学資保険の生命保険料控除を利用する際の注意点生命保険料控除を利用する際には、いくつかの注意点があります。あらかじめ確認しておくことで、学資保険でうまく節税することが可能になります。 ①控除申請は保険料を負担する本人のみしか行えない注意点1つ目は、控除申請する人についてです。控除申請できるのは、保険料を支払っている人だけです。例えば、契約者が妻で保険の支払いをしているのが夫の場合、夫だけが控除申請可能ということになります。必ずしも契約者が保険料支払い者ではないので、注意が必要です。 ②学資保険の控除額には上限が設定されている生命保険料控除額には上限が設定されていて、上限を超えた分は控除対象になりません。例えば、所得税の新制度の一般・介護医療・年金それぞれの控除額の上限は4万円までです。これは、年間保険料が8万円超の場合が該当します。つまり、年間保険料が80,001円の人も100,000円の人も控除額は4万円になるのです。1つの控除枠内で8万円を超えた分は切り捨てになってしまうので、節税という面で考えると、一般・介護医療・年金の枠をそれぞれ使えるように、バランス良く保険に加入すると良いでしょう。また、学資保険は一般生命保険料控除枠に該当しますが、死亡保険や養老保険ですでに4万円の控除を受けている場合は、学資保険の生命保険料控除は受けられないので、注意が必要です。 ③控除対象とならない場合もある保険の契約形態によっては控除対象にならない場合があるので、注意が必要です。対象とならないのは主に下記の2点です。保険期間が5年未満の契約保険金の受取人が、契約者・配偶者・その他の親族以外の契約両者とも、学資保険ではごく稀なケースのため、ほとんどの契約は当てはまりませんが、心配な方は念のため確認しておくと安心です。特に2つ目の受取人については、加入した後に夫婦が離婚した場合、受取人をそのままにしておくと当てはまるケースもあるので、注意が必要です。 ④介護医療保険料控除の対象となる学資保険もある学資保険は、医療特約が付加できるタイプの商品も多数あります。その場合、特約部分のみ介護医療保険料控除の対象になる契約もあるので、注意が必要です。保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書に内訳が記載されていますので、しっかり確認してください。 ⑤学資保険の受取時に税金の支払いが必要なケースもある生命保険は契約者と受取人の関係によって、受取時にかかる税金の種類が変わります。いちばん税金が少ないのは、契約者と受取人が同一人物である場合の所得税です。学資保険は大半がこのケースに該当するでしょう。もし契約者と受取人が違う場合は、贈与税がかかります。受け取る金額により税金がかからない場合もありますが、贈与税は所得税より高額なため、せっかく生命保険料控除で節税できても意味がなくなってしまう場合もあるのです。学資保険での節税対策については、こちらの記事で詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。 まとめ今回は、学資保険の年末調整や確定申告についてご紹介してきました。抑えてほしいポイントは下記の4つです。学資保険は一般生命保険料控除の対象所得税で最大4万円、住民税で最大2.8万円が所得から控除される年末調整や確定申告で必要事項を記入するだけで申告が可能申告は保険の契約者ではなく、保険料を支払っている人が行う一度、理解してしまえばそれほど難しい内容ではないのですが、普段、目にしない書類を記入するのに抵抗がある方も多いかと思います。そのようなときは、保険のプロに相談してみてはいかがでしょうか。保険のプロならば、生命保険料控除の申告の仕方はもちろん、他の節税対策の提案もしてくれます。これからは、国の政策だけに頼らずに自分で資産形成をしていく時代です。今後の資産形成についても、きっと有効なアドバイスがもらえるはずです。「まずは気軽に保険のことを相談してみたい!」という方にお勧めなのが、Moneypediaのオンライン保険相談サービスです。保険のことをいつでも・どこでも・気軽に・何度でも専門家に相談することが出来ます。まずは一度、下記リンクからご相談されてみてはいかがでしょうか。Moneypediaのオンライン保険相談サービスいつでも・どこでも・気軽に・何度でも専門家に相談