学資保険の概要学資保険とは、子どもの将来の教育費に備えるための、貯蓄型の保険です。毎月、一定額の保険料を支払うことで、子どもの進学や必要になる学費に合わせて満期保険金や祝金を受け取れます。契約者にケガや病気などがあり保険料が支払えなくなった場合、保険料の払い込みが免除になる上、満額の保障を受け取れる特約もあります。さらに、必要に応じて子どもや契約者のケガ・病気に備えることもできるのです。このように学資保険は、保険として家族の万が一にも対応できる、子どもの教育資金に備えるための有効な手段と言えるでしょう。 学資保険の満期金額の相場はいくら?学資保険の満期金額の相場は、100万円・200万円・300万円ほどと言われています。学資保険は契約者の支払う保険料や加入年齢、加入時期などによって満期金額が異なります。以上の相場を見て、多いと感じた人もいれば、足りないと思った方もいるかもしれません。では子どもの学費が、どれほどかかるのかを確認していきましょう。 学資保険の必要保障額の目安学資保険で備えるべき、教育費の必要保障額の目安を紹介します。紹介する目安は、次のように区別するので、家庭の意向と照らし合わせてご覧ください。全て国公立に通い高校を卒業する全て私立に通い高校を卒業する全て国公立に通い大学を卒業する全て私立に通い大学を卒業する必ずしも上記のような分類に、当てはまるわけではないでしょう。しかし必要保障額の目安を示すにあたり、理解しやすいよう分類しました。以下で紹介する必要保障額の目安は、平成30年度に文部科学省から発表された「子供の学習費調査」と株式会社日本政策金融公庫の「~平成 30 年度「教育費負担の実態調査結果」~」を参考にしています。全て国公立で高校卒業までの必要保障額幼稚園から高校まで、全て国公立に通った場合に必要となる学費について見てみましょう。結論から言うと、全て国公立で、幼稚園から高校までの15年間に必要な学費の総額は、約540万円となります。では幼稚園から、小学校、中学校、高校のそれぞれにかかる学費の総額を確認します。幼稚園(3年間):約65万円小学校(6年間):約192万円中学校(3年間):約146万円高校(3年間):約137万円それぞれを通う年数で割ると、1年あたりの学費は次のようになります。幼稚園:約22.4万円小学校:約32.1万円中学校:約48.8万円高校:約45.7万円小学校卒業までは、1年あたり30万円前後が学費となります。そして中学入学からは1年で40万円以上を学費として準備する必要があるでしょう。全て国公立なら、毎年20〜45万円を準備しながら総額540万円ほどに備える必要があることがわかりましたね。全て私立で高校卒業までの必要保障額では続いて、幼稚園から高校まで全て私立に通った場合を確認しましょう。その15年間で必要な学費は総額約1,830万円となります。全て国公立に通うよりも、3倍以上も高い計算になります。幼稚園から小学校まで、全て私立に通わせるのは少数派かもしれません。ただし子どもの可能性や、学ぶ環境を考えれば誰にでも無縁というわけではないでしょう。総額の内訳は、次のようになります。幼稚園(3年間):約158万円小学校(6年間):約960万円中学校(3年間):約421万円高校(3年間):約290万円各学年の1年あたりの金額はいくらになるのでしょうか。その相場は次のとおりです。幼稚園:約52.8万円小学校:約159.9万円中学校:約140.6万円高校:約97万円15年間で学費総額1,830万円なら、平均すると1年間で約122万円が必要になるでしょう。また私立学校は、高額な入学費が求められることもあります。あらかじめ、学資保険などで備えておきたい金額ですね。全て国公立で大学卒業までの必要保障額幼稚園から高校までの15年間を全て、国公立に通った場合に必要な学費総額は約540万円でしたね。現在は大学進学率が50%を超えているほど、大学進学は身近なことになってきました。明確ではなくても、子どもの大学進学を想定している方も多くいるでしょう。大学の4年間でかかる学費をみると、総額約540万円となります。つまり、子どもが幼稚園から大学までの19年間を全て国公立に通った場合の学費総額は、約1,080万円となるのです。19年間という準備期間はあるものの、1,000万円以上の資金は工夫をしながら用意したいところです。ちなみに、540万円は次のような内訳になっています。入学費:約80万円在学費(4年間):約460万円1年あたりの学費は、約115万円。入学費は約80万円なので、子どもが大学に入学する年は200万円近くが必要となる見込みですね。全て私立で大学卒業までの必要保障額幼稚園から高校までを、全て私立に通った場合に必要となる費用総額は約1,830万円でした。私立大学の場合、文系・理系や、学部ごとに学費相場が大きく異なります。したがって文・理を区別し、学部ごとの相場も確認していきましょう。文・理別に、大学卒業までにかかる学費をまとめると次のようになります。文系:730万円理系:826万円学費総額は、文系より理系の方が100万円近く高いようです。また国公立大学に比べると文系で200万円、理系で300円ほども高額になることがわかりました。幼稚園から大学までの学費総額は、約2,560〜2,656万円となります。それぞれの内訳は、次のようになります。【文系】入学費:約90万円在学費(4年間):約640万円【理系】入学費:約86万円在学費(4年間):約749万円私立大学の入学時には、250万円前後の費用がかかります。また毎年150万円以上もかかるため、あらかじめ備えておく必要があるでしょう。大学学部間の入学費の違い大学には法学部、文学部、経済学部、工学部、医学部など多数の学部があります。学部ごとに学費が異なり、とくに費用が異なるのが私立大学の入学費です。大学初年度の学生納付額の差を、文部科学省が発表した平成30年度「私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額」を参考に確認しましょう。文学部や法学部、経済学部などの文系学部間では、入学費に大きな差はありません。しかし、理系ではその差が目立ちます。薬学部は、入学費に200万円以上が必要になります。とくに目立つのが医学部で、入学費に500万円も必要になるのです。私立大学に通う場合は、所属する学部の金額にも注意しなければなりませんね。国立大学は、あらかじめ国の省令で学費が決められています。したがって、学部間の差はあまりありません。公立大学も地域による差はありますが、目立った学部間の違いはないようです。 学資保険で大学入学に備えるときの満期金額の相場ここまで見てきた子どもの学費の相場からわかるように、大学入学には、200〜250万円ほどの資金が必要になります。そのため、大学入学時に備える学資保険の満期金額の相場は100〜200万円と言われているのです。学費保険で200万円を準備できれば、大学入学費と1年目の在学費をまかなえるでしょう。また100万円あれば、残りの100万円を貯金や他の金融資産、奨学金、教育ローンの活用でも準備できるかもしれません。では、学資保険で200万円を準備するには、毎月いくらの保険料が必要なのでしょうか。ここでは例として、子どもが生まれてから大学入学までの18年間、返戻率100%の学資保険に加入したとしましょう。すると学資保険で200万円を準備するには、約9,260円の保険料を毎月支払うことになります。同じ条件で100万円を準備したいなら、半分の約4,630円となるでしょう。 学資保険で大学4年間の学費に備えるときの満期金額の相場大学4年間にかかる学費をまとめると、次のようになります。国公立:540万円私立・文系:730万円私立理系:826万円大学4年間の学費をまかなうなら、学資保険で500万円ほどを準備したいところではないでしょうか。先ほど紹介した上記の例を参考にすると、保険料は毎月約23,150円となります。大きな家計負担となって、現実的ではない数字に感じる方もいるでしょう。また子どもの学費は、学校以外の習い事にもかかるものです。そこで、子どもの教育費がまだ少ない幼いうちに、まとめて払い込むなどの工夫ができます。他の資産運用で準備したり、奨学金や教育ローンを活用したりする手段もあります。 月額の学資保険料の相場はいくら?多くの人は学資保険に、毎月いくらの保険料を支払っているのでしょうか。ここでは、ソニー生命保険株式会社「子どもの教育資金に関する調査2020 」を参考に、学資保険の保険料の相場感を予測したいと思います。高校生以下の子どもの親や予備校生・浪人生の親(754名)へ、子どもの進学費用のために、月々いくら支出しているかを聞いたアンケート結果は次のようになっています。0円:28.5%1〜2.999円:2.8%3,000〜4,999円:1.2%5,000〜9,999円:7.7%10,000~14,999円:20.2%15,000〜19,999円:7.4%20,000~29,999円:16.4%30,000円〜:15.8%そして平均支出金額は、毎月15,776円となりました。大学などへの進学のための教育資金を準備する方法として、高校生以下の子どもをもつ親(748名)にアンケートしたところ、銀行預金が58.3%、学資保険が49.6%となったようです。子どもの教育資金に備えている人の半数ほどは、学資保険を活用して15,000円くらいを毎月支出していると予測できます。 学資保険料を月額5,000円に設定したときの受取額の相場学資保険に毎月5,000円の保険料を支払ったら、将来的にいくらの保険金を受け取れるのでしょうか。ここでは子どもが生まれてから大学に入学するまでの18年間、毎月保険料を支払い返戻率100%で保険金を受け取ると考えます。すると保険金は、次の金額になるでしょう。5,000(円)×12 (ヶ月)×18(年)=108(万円) 学資保険料を月額1万円に設定したときの受取額の相場では、同じような設定で毎月1万円を支払ったとすると、次のような計算になりますね。10,000(円)×12 (ヶ月)×18(年)=216(万円)大学の入学年度の学費は、ほぼまかなえる水準でしょう。 学資保険料を月額2万円に設定したときの受取額の相場最後に、同じように毎月2万円を支払った場合を確認しましょう。20,000(円)×12 (ヶ月)×18(年)=432(万円)国公立なら、大学の4年間もなんとかやりくりできる水準ですね。私立でも、これだけの額を学資保険でまかなえられると心強いでしょう。 学資保険の相場に関する注意点最後に、学資保険の相場に関する次の注意点を解説します。満期金の受取タイミングを十分に確認する税金が発生するケースがある家計に無理のないプランに加入する元本割れしていない学資保険に加入する学資保険の特約を無駄なく選ぶ学資保険料は払込方法・加入期間・加入年齢でも変動するそれぞれ、確認していきましょう。 ①満期金の受取タイミングを十分に確認する満期保険金の受け取りタイミングは、とても重要です。というのも、本当に保険金が必要なときに受け取れないと、学資保険の意味がないからです。入学する大学や、子どもの生年月日によって最適な受け取りタイミングが変わるので注意しましょう。ここでは、次の2種類の受け取りタイミングの注意点を確認します。17・18歳を受取タイミングにする20・22歳を受取タイミングにする17・18歳を受取タイミングにするときのポイント子どもが18歳になって大学進学する場合、入学金や大学1年目の在学費にまとまった資金が必要になります。ただし、学資保険の保険金は18歳が満期になるため、2、3月生まれの子どもは18歳になるまで保険金を受け取れません。すると、大学に必要な費用を支払えなくなってしまうでしょう。大学入学の直前に、子どもの誕生日があるなら、子どもの年齢が17歳をむかえたタイミングで満期保険金を受け取るのがいいでしょう。そうすれば入学前に、費用の支払いに困ることなく、万全の準備をして入学できるはずです。20・22歳を受取タイミングにするときのポイント学資保険の中には、子どもが20歳となって成人をむかえる時期や、22歳で社会人、もしくはさらなる進学をするタイミングで受け取れるものがあります。子どもの将来的な展望と、照らし合わせて決めなければなりません。もし社会人になって資金が不要なら、大学の在学費のために20歳で保険金を受け取っておくのもいいでしょう。一方で子どものさらなる進学や仕事での独立などのために、22歳で受け取る必要がある場合もあります。保険金は、本当に必要なタイミングで受け取りたいもの。何に一番、資金が必要かを見極めるのが大切です。 ②税金が発生するケースがある学資保険の保険金の受け取りには、税金が発生する場合があります。ここでは、税金が発生する恐れのある次の3つのケースを解説します。契約者と受取人が同じケース契約者と受取人が違うケース育英年金を受け取るケース契約者と受取人が同じケース契約者と受取人が同じ場合、受け取った満期保険金が一時所得になり、所得税の対象になる可能性があります。一時所得は、次のような計算式によって求められます。一時所得=「受け取った満期返戻金」−「支払った総額保険料」−「特別控除(50万円)」ただし、計算式から満期保険金へ課税されない場合もあります。それは受け取った満期保険金から支払った保険料を引いた額が、特別控除の50万円よりも少ないときです。たいていの場合、受け取った保険金が支払った保険料よりも50万円以上多くなることはないので、課税される可能性は大きくありません。契約者と受取人が違うケース学資保険の保険金を契約者が受け取らず、子どもなどの契約者と違う人が受取人になった場合、贈与税の課税対象になるでしょう。贈与税の計算式は、次のようになります。贈与税額=(満期保険金−基礎控除(110万円))×税率−控除額契約者が保険金を受け取れば、あまり課税されません。ただし贈与税は、保険金から差し引けるのが基礎控除の110万円だけであるため、かなりの確率で課税されるでしょう。どうしても、契約者と受取人をわけたいなら、保険金を基礎控除より少なくするのも節税の1つの工夫です。しかし、そうして教育資金が不足するなら意味がないので、やむを得ない事情でない限り契約者を受取人にするのが無難なはずです。育英年金を受け取るケース育英年金とは、契約期間中に契約者が死亡や所定の高度障害になった場合に、学資保険の満期日をむかえるまで育英資金として年金形式で支払われる保険金のことです。育英年金の、初年度の受取人は子どもになるため、相続税の対象になります。相続税の場合、多額の控除があるので、課税されるケースは多くありません。受取の2年目になると、雑所得が課税されます。所得税には38万円の基礎控除がありますが、その額を超えると課税され確定申告も必要になるでしょう。 ③家計に無理のないプランに加入する子どもの教育資金に備えるのは大切ですが、今の生活も重要です。学資保険は、無理なく子どもの教育資金を貯めるために設計された保険でもあります。家計に負担がかかりすぎないプランにしましょう。また、各保険会社のホームページから、毎月の保険料と受け取れる保険金がわかるシミュレーションがあるので活用してみてください。 ④元本割れしていない学資保険に加入する学資保険には、返戻率という指標があります。簡単にいうと、支払った保険料に対して受け取った保険金の割合のことです。その返戻率が100%以上であれば、保険金が保険料より多いことになります。100%未満なら、元本割れしていることになります。学資保険には、返戻率が100%未満のものもあります。できるだけ、元本割れしない学資保険に加入しましょう。⑤学資保険の特約を無駄なく選ぶ学資保険には、入院給付金や死亡給付金などを受け取れる特約があります。しかし、特約をつけすぎると保険料が高くなってしまい、返戻率が下がってしまうでしょう。そのため、本当に必要な最低限のものだけにするのがおすすめです。 ⑥学資保険料は払込方法・加入期間・加入年齢でも変動する学資保険料は、払込方法や加入時期、加入年齢によって変動することがあります。どのように変動するのかを確認してみましょう。学資保険料と払込方法の関係性学資保険の払込方法には、次のような方法があります。月払い半年払い年払い支払い回数が少ない方が、保険料も少なくなる傾向にあります。なぜなら、保険会社が資金を早めに確保できるからです。保険料を安くしたいなら、半年払いや年払いの検討もおすすめですよ。学資保険料と加入期間の関係性学資保険の総額保険料は、加入期間を短くすると安くなる傾向にあります。払込回数と理由は同じで、保険会社が早めに資金を確保できるからです。ただし期間の長い方が、1回に支払う保険料は安くなります。なぜなら、期間が長くなっただけ分割効果が高まるからです。家計の状況に応じて、検討してみましょう。学資保険料と加入年齢の関係性子どもの加入年齢によって、学資保険料が変わります。子どもの年齢が小さいときに加入する方が、保険料が少なくなるのです。理由は、満期日までの期間が長くなることや保険会社が早めに資金を確保できることなどでしょう。また、子どもの年齢が小さい方が、返戻率も高くなる可能性が高いです。0歳からの加入がおすすめですが、無理のない範囲で早めの検討をしてみましょう。 まとめここまで、子どもの教育費の相場や学資保険料・保険金の相場について見てきました。しかし、相場はあくまでも目安で、個人や家庭にあったプランにするのがいいでしょう。そこで、相場を参考にしつつも無理なく着実に教育資金を貯めるために保険のプロに相談してみましょう。きっとあなたにあったプラン作りの手助けになるはずです。最後に、本記事の要点をまとめます。情報整理にお役立てください。学資保険とは、子どもの将来の教育費に備えるための貯蓄型の保険。学資保険の満期金額の相場は、100万円・200万円・300万円ほど。子どもが幼稚園から大学まで全て国公立に通った場合の学費総額は約1,080万円。全て私立なら学費総額は約2,560-2,656万円。子どもの教育資金に備えている人の約半数は学資保険を活用し、15,000円くらいを毎月支出していると予測できる。学資保険の相場では、「満期金の受取タイミングを十分に確認する」「税金が発生するケースがある」「家計に無理のないプランに加入する」「元本割れしていない学資保険に加入する」「学資保険の特約を無駄なく選ぶ」「学資保険料は払込方法・加入期間・加入年齢でも変動する」ことを意識する。「まずは気軽に保険のことを相談してみたい!」という方にお勧めなのが、Moneypediaのオンライン保険相談サービスです。保険のことをいつでも・どこでも・気軽に・何度でも専門家に相談することが出来ます。まずは一度、下記リンクからご相談されてみてはいかがでしょうか。Moneypediaのオンライン保険相談サービスいつでも・どこでも・気軽に・何度でも専門家に相談