低解約返戻金型終身保険の特徴低解約返戻金型終身保険とは、保険料払込期間中の解約返戻金額を低く抑えることで、保険料を割安に抑え、貯蓄機能を兼ね備えたタイプの保険です。解約返戻金が低く設定されているのは、保険料払込期間中の解約に限り、満期を過ぎると解約返戻金の返戻率は高くなるという特徴があります。 終身保険とは そもそも終身保険とは、どんな保険でしょうか。終身保険とは、期間が決められた定期保険と異なり、死亡・高度障害保障が一生涯続く保険です。また、一般的な掛け捨てタイプとは異なり、必要に応じて解約をすると、契約期間に応じて解約返戻金を受け取ることができます。ただし、保険料払込期間中の解約は払込保険料を下回ってしまうケースもあるので注意が必要です。 低解約返戻金型終身保険と通常の終身保険 低解約返戻金型終身保険と通常の終身保険の最も大きな違いは、低解約返戻金型終身保険の方が保険料払込期間中の解約返戻金が少ない点です。ただし、保険料も通常の終身保険よりも安くなり、返戻率は通常の終身保険よりも高くなります。 低解約返戻金型終身保険のデメリット 低解約返戻金型終身保険のデメリットは、基本的には保険料払込期間中は、解約返戻金が払込保険料を下回ってしまう点が挙げられます。解約返戻金は通常の終身保険と比較しても、7割程度に抑えられている商品が一般的で、早期解約の場合、元本割れを起こすリスクが高くなります。また、保険料払込期間中の解約がリスクになるため、保険の見直しをしにくい点もデメリットと言えるでしょう。その点に抵抗を感じる方もいらっしゃるかと思います。ただし、保険商品や契約期間によっては、以後の保険料払込を無くし、それまでの払込保険料に応じた保障を受け続けることのできる「払い済み」という制度を活用できる場合もあります。そういった保険の「使い方」を把握しておくことも、最適な保険選びに欠かせません。 目的から見た低解約返戻金型終身保険のポイント貯蓄目的で加入する場合 低解約返戻金型終身保険を貯蓄目的で加入する場合、保険料を何年間支払うのかを加入前にしっかりと把握しておく必要があります。10年、15年といった比較的短期間で払込みを終わらせる方法もあれば、60歳、65歳まで保険料を払込む方法もあります。もちろん払込みを早く終わらせれば終わらせるほど、解約返戻金の返戻率は高くなりますが、その分1回の保険料も高くなります。途中で払込みが困難になり、解約せざるを得ない状況になった場合、それは大きなリスクになります。無理のない金額で契約することが非常に大切です。 学資の代わりになる? 近年、子どもの将来の教育資金の準備として、学資保険ではなく低解約返戻金型終身保険を活用したケースも増えています。低解約返戻金型終身保険を学資の代わりとして加入する場合、メリット、デメリットをしっかり把握した上で上手く活用していきましょう。では、具体的に低解約返戻金型終身保険を学資の代わりとして加入した場合のメリット、デメリットはなんでしょうか。まず、大きなメリットは学資保険と比べた時の返戻率の高さです。満期以降の解約返戻金の返戻率は高くなりますし、もし大学進学時などの資金として保険が必要なかった際には、解約返戻金を受け取らずにそのまま置いておくこともできます。また、そのまま置いておくと、運用は継続されるため返戻率は上がります。そのため、より多くの解約返戻金が期待できます。また、もう一つのメリットは、将来どのタイミングでいくら必要になるか確定しておらず、解約返戻金を受け取るタイミングが決まっていない場合も自由に使えます。ただし、貯蓄目的、学資代わりのどちらにしても、保険料払込期間中の解約は元本割れのリスクが高くなる点はデメリットになります。 低解約返戻金型終身保険のシュミレーション ここでは例として、メットライフ生命のUSドル建終身保険「ドルスマートS」の低解約返戻金型終身保険のシュミレーションを見ていきたいと思います。年齢:30歳性別:男性契約通貨:米ドル保険料円払込方法:月払い払込保険料:$166.60/月保険料払込期間:60歳満了適用為替レート:1USD=110.50円積立利率:2.5%被保険者満年齢(歳払込保険料累計(米ドル)解約返戻金額(米ドル)返戻率(%)311,999.200.000.0%359,996.004,294.4442.9%4019,992.0010,757.3453.8%4529,988.0017,478.4058.2%5039,984.0025,228.3463.0%554,9980.0034,167.4368.3%6059,976.0058,153.7596.9%6559,976.0068,366.62113.9%ドルスマートSは、為替の影響を受ける商品というのは前提としてありますが、表を見ていただくとわかるように60歳(保険料払込満了)までに解約すると、返戻率は7割にも満たないようにリスクがあることがうかがえます。ただし、保険料払込期間満了以降は解約返戻金は増加しています。 低解約返戻金型終身保険が向いている人 保険料払込満了後の返戻率の高さが特徴の低解約返戻金型終身保険は、優れた貯蓄性を兼ね備えており、万が一の保障を持ちながら、しっかりと資産形成をしていきたい人には向いている保険商品の一つと言えます。また、保険料払込期間中に解約をする可能性がない方にとっては、保険料が割安になっているため、保険料を抑えることができ、活用しやすいでしょう。 まとめ 低解約返戻金型終身保険は、通常の終身保険と比べて保険料を抑えられ、保障もしっかりと備えることができる保険です。また、貯蓄性も高く、通常の終身保険と比べても活用できる幅が広がり、学資の代わり、老後資金といった目的での加入ケースも増えてきています。もちろん途中の解約は大きなリスクを伴うため、そうした特徴を把握したうえで、ご自身に適するかを判断する必要があります。他の保険との比較や、検討する上で迷われた際には、保険のプロに相談することをおすすめします。